ピジョンブラッドまだ雪が残る時期。
夜な夜な港の倉庫で話し声が聞こえてこっそり見てみると、マフィアが指輪の取り引きしてるところだった。
手に入れた経緯は不明だが、随分と良い指輪らしい。
でもそれは正規ルートで得たものでは無い。
私は何となく盗んでみたいという好奇心が湧き上がった。
翌日、マフィアの一人…白髭の男は列車に、もう一人の帽子を被った紳士的な風貌の男は別行動らしく船に乗るようだった。
列車に乗る前に白髭が険しい表情で相棒を呼び止める。
「やはりその指輪はやめた方がいい。不幸なんて貰うもんじゃない」
白髭はそう言ったが、相棒は迷信だと笑い飛ばした。
どうやらいわく付きの指輪らしい。
他の乗客に紛れ帽子の男を追うように私も乗船し、それから間もなくして船が出港した。
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