死人に口無し1
視点・その声が聞こえぬ者
「お待たせ〜!待った…?ごめんね待たせちゃって」
多分怒ってるよな〜と思いつつも俺は悪びれもなく花束を渡した。
「じゃじゃーん!花束持ってきたよ!マリアと一緒に君のために選んだんだ。綺麗じゃない?」
花なんて1週間で散るものだけど、たまにはこういう贈り物も良いだろう。
「あ、さっきアスターに会ったんだ!」
久しぶりに会った友の名を口にする。
「新しくオープンしたカフェに入ったらお給仕さんがアスターだったんだよ!ビックリした〜。メイド姿とても似合ってた。制服が可愛かったからって理由でバイトしてるんだって。面白いよね」
「最近中々皆と会えなくて寂しがってたなぁ」
「俺?俺はね最近…何も手につかなくて時間を持て余してるよ」
「でもここ最近で今が一番楽しい。だって君と話してるからね。」
ハハハとべらべら談笑してたらいつの間にか時間がまぁまぁ経っていた。こうも時が経つのは早いのか、と虚しくなってくる。
「……ねぇ、もう一度だけ笑ってよ…」
叶わないことだってわかってるのに思わず本音が漏れた。
「早く逢いたいな……」
「……………………大好きだよ。」
もう、鏡の声は聞こえない。
2
視点・口無しの者
お待たせ〜!待った…?ごめんね待たせちゃって。
「遅ぇぞノロマエイリアン。どんだけ待たせるんだよ」
じゃじゃーん!花束持ってきたよ!マリアと一緒に君のために選んだんだ。綺麗じゃない?
「マリアのセンスも良いし綺麗だけど花なんかすぐ枯れるだろ」
あ、さっきアスターに会ったんだ!
新しくオープンしたカフェに入ったらお給仕さんがアスターだったんだよ!ビックリした〜。メイド姿とても似合ってた。制服が可愛かったからって理由でバイトしてるんだって。面白いよね。
「なにそれウケるwらしいと言えばらしいけど」
最近中々皆と会えなくて寂しがってたなぁ。
「………お前は今どうしてんの…?」
俺?俺はね最近…何も手につかなくて時間を持て余してるよ。
「……らしくねぇぞクソエイリアン。いつも通り馬鹿騒ぎしてればいいだろ」
でもここ最近で今が一番楽しい。だって君と話してるからね。
「…当たり前だ。俺は退屈な男じゃないからな」
……ねぇ、もう一度だけ笑ってよ…。
「……さっきから笑って話聞いてやってるじゃん…」
早く逢いたいな……。
「……やめろ後数百年は来るなよ…」
……………………大好きだよ。
「……俺の話くらい聞けって……返事できなきゃ意味ねぇじゃん………俺だってお前のこと─────」
最後まで、その言葉は言えなかった。
だって声が届かないから。