デートと夜這い 審神者の学校の送り迎えを、おれが担当することになってしまった。今までしょっちゅう「肥前、迎えに来て!」と言われていたので、対して代わり映えのしない日常とも言えたが、審神者との関係が変わりつつあるから、今までとはやはり何かが違っているのだった。
なにより、審神者はこれを「デート」だと言うのだ。
「肥前とデートすんの、嬉しいなぁ」
「単なる送迎だろ」
「つれないなぁ、俺がデートだと思ってるんだからデートにしてよ」
「……デートって具体的になにすんだよ」
「うーん……、一緒に店回ったり、買い物したり?手ぇ繋いだり?」
審神者がひらひらと手を翳す。やんねぇぞ、と口にする前に審神者に飛びつかれて腕を組まれた。こうなるとおれが振り払ったりできないのを分かっててやっているが癪に障る。チッと舌打ちしても、審神者はまったく意に介すことなく、へらへらと微笑んだ。
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