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    km64_lf

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    原稿用紙10枚習作。何でも許せる人向け。
    レノフィが結婚報告する話。この前書いた習作と地続き。
    最後の、ファ先生とネロさんの気やすい感じが書きたくて、ネロさんには巻き込まれていただいた。晶ちゃんも居る。この晶ちゃんはBL文化に造詣が深いです。
    出産について話題にしているので注意。
    話がすぐ脱線するし喧しいし自由に書いています。キャラ崩壊もご注意ください。

    無題〇魔法舎 談話室 午前
    フィガロ「賢者様、ファウスト。悪いね、呼び出しちゃって」
    レノックス「おふたりともすみません、お時間をいただいてしまって」
    晶「私は大丈夫ですよ。ふたり揃ってどうしたんですか?」
    ファウスト「手短に頼む。どうせ大した用じゃないんだろ、フィガロ」
    フィガロ「まあ確かに、大した用じゃないかな……。レノ、やっぱりやめない?」
    レノックス「フィガロ先生。散々話し合ったじゃないですか。俺はおふたりにはご報告するべきだと思います」
    フィガロ「じゃあ君が言ってよ、レノ」
    レノックス「……。(深呼吸)」
    レノックス「賢者様、ファウスト様。この度結婚することになりましたので、今日はそのご報告です」
    晶「レノックス、結婚するんですか! わあ、おめでとうございます! 前に、家庭のことは落ち着いたら考えるって言っていましたもんね」
    ファウスト「結婚って。君、結婚するほど良い人がいたの。僕にかまっている場合じゃなかったじゃないか。……ん? 待て、結婚するのはレノなのに、なぜフィガロが一緒にいるんだ?」
    フィガロ「ええと、その、レノの”良い人”っていうのが、俺だから……?」
    ファウスト「は?」
    フィガロ「待って、怒らないで。冗談を言っているわけじゃないんだ」
    ネロ「……。」
    ネロ(厄介な話してるところに居合わせちまったな。気づかれる前にずらかるか)
    ファウスト「ネロ、なにをコソコソしてるの」
    ネロ「あっ、えぇと、昼飯の準備でもしに行こうかなって……」
    ファウスト「昼食の支度をするにはまだ早いよ。こっちに来て、僕の隣に座って」
    ネロ「え、なんで?」
    ファウスト「いいから」
    ネロ「……先生、もしかして緊張してる?」
    ファウスト「やかましいよ。にやにやしない。ほら、早く」
    ネロ「わかったから、エプロン引っ張るなって」
    晶(ネロ、ファウストに頼られて嬉しそうだな)
    晶「あの、フィガロ、レノックス。聞いてもいいですか?」
    フィガロ「なあに、賢者様」
    晶「おふたりはいつからお付き合いされていたんですか?」
    フィガロ「つきあってはいないよ。ねえ、レノ」
    レノックス「そうですね。恋人ではありませんでしたので」
    ネロ「えっ?」
    ファウスト「うわ、びっくりした。なんで君が驚いてるの」
    ネロ「いやだって。魔法舎に居る奴らの半分以上は驚くと思うぜ。なあ、賢者さん」
    晶「はい、私も驚きました。てっきりふたりは恋人なんだと思ってたので」
    フィガロ「俺たちってどう見られてるの……?」
    ネロ「あんたら距離が近すぎるし、しょっちゅう羊飼い君の部屋から朝帰りしてたからさ」
    フィガロ「ああ、そういえば君はレノと部屋が隣だったね。まあ、君とブラッドリーには言われたくないけど」
    ファウスト「……。」
    レノックス「……ファウスト様? どうされました?」
    ファウスト「つ、つまり、君たちの関係って、セ……」
    晶「セ?」
    ネロ「セフレってことだな」
    フィガロ「身もふたもない言い方をすればそうだね」
    ファウスト「はあ?」
    晶「まあまあ、落ち着いてくださいファウスト」
    ネロ「魔法使いの付き合って割とそんなもんだって、先生。俺たちは約束ができないからさ。ただ、羊飼い君もそうだったのは意外だったけど」
    ファウスト「不実じゃないか?」
    晶「でも、ふたりは結婚することにしたんですよね。どうしてですか? 魔法使いにとって結婚って、すごく勇気の要ることだと思いますけど」
    レノックス「けじめ、と言ったらいいでしょうか。産まれてくる子のために、関係をはっきりさせておいた方がいいと思ったので」
    晶・ファウスト・ネロ「子!?」
    フィガロ「レノ、一足飛びに話しすぎ」
    晶「つまり、デキ婚ってことですか!?」
    フィガロ「賢者様、俺は男だからデキ婚はありえないよ」
    晶「私の世界にはオメガバースという概念があって、もしかしたらこの世界でなら男性でも……、え、今なんて言いました?」
    フィガロ「あっ」
    晶「フィガロが右なんですか……?」
    ファウスト「賢者、その、オメガなんとかとか、右とかってなんだ?」
    晶「えーと、つまり、フィガロが受けなんですか?」
    ファウスト「受け……?」
    ネロ「賢者さんが言いたいのって『ネコ』ってことか?」
    晶「そう、それです、ネコ」
    ファウスト「おい、さっきからなんの話をしているんだ? フィガロは猫じゃなくて人間だろ」
    晶「ファウスト、流石に清純派すぎます」
    フィガロ「つまり、俺が受け入れる側ってことだよ、ファウスト」
    ファウスト「どうやって?」
    フィガロ「え、そこまで言わせる!?」
    ネロ「あとで教えるよ、先生」
    晶「それで、あの、フィガロ。本当に子どもを産むつもりなんですか?」
    フィガロ「うん」
    レノックス「フィガロ先生にそのことを相談されて、俺でよければ父親になりますと申し出ました」
    ファウスト「恋人ではなかったのに、そこまでするのか?」
    レノックス「そうですね、恋人ではありませんでしたが、長年、俺もフィガロ様も他に相手はいませんでしたから」
    ネロ「え?」
    ファウスト「フィガロ……?」
    晶「女性好きっぽい発言をよくしていましたけど……」
    フィガロ「レノと寝てから、女性と寝ても満足できなくなったなんて、言えるわけない……!」
    晶(あ、顔を隠しちゃった。でも耳まで真っ赤だ……)
    フィガロ「ああもう、こんなことまで言うことになるとは思わなかった!」
    ネロ「いや、こっちもこんな踏み込んだ話し、聞くとは思わなかったよ」
    ファウスト「それで、どうして、子どもを産もうと思い立ったんだ」
    晶「自分の子どもを産むことで、何かが変わるかもしれないと思った、とかでしょうか?」
    フィガロ「まさか。もし子どもが産まれただけで何かが変わるなら、この世に虐待も捨て子も存在しないさ」
    ネロ「なら、なんでだ?」
    フィガロ「もう一度与えられた命をどう使おうか考えた時に、これまでの人生で子どもを産んだことはなかったから。この世界の哺乳類で魔法使いだけが、性別を変えて、男でも出産をすることができる。ある意味、最も魔法使いらしい行為だと思うったんだ」
    ファウスト「お前の思い付きで産み落とされる子どもが気の毒だな」
    フィガロ「そうだね。だからこそ、いい環境で育ててあげたいと思っているよ」
    晶「子どもは、やっぱり南の国で育てるんですか?」
    レノックス「はい。南の国は、子どもが育つのにいい場所ですから」
    晶「生まれたら遊びに行きますね!」
    ファウスト「はあ、話しを聞いただけなのに、なんだか疲れた。ともあれ、祝福するよ。おめでとう」
    ネロ「おめでとさん」
    晶「おめでとうございます」
    レノックス「ありがとうございます」
    フィガロ「ありがとう」
    晶「ルチルとミチルには話したんですか?」
    レノックス「はい。ふたりには今朝、食事に行く前に話しをしました」
    ネロ「ああ、だからあのふたり、嬉しそうにしてたのか」
    晶「スノウとホワイト、それにオズには?」
    フィガロ「うーん、あの三人には言わなくてもいいかなあ……」
    ファウスト「どうして。彼らもあなたの家族だろう。喜ばれると思うが」
    レノックス「俺もそう思います。それに、きちんと挨拶をしておきたいですし」
    晶「というか、私たちより先に、ご両親に報告をしてくるべきだったと思いますよ」
    ファウスト「僕も賢者と同じ意見だ」
    レノックス「行きましょう、フィガロ先生」
    フィガロ「うわ、ちょっとレノ、持ち上げないで! 下ろして、君背が高いんだから、すごく怖い!」
    レノックス「ちょっと、暴れないでください。こうでもしないとあなた、行かないでしょう」
    ネロ「うわ、フィガロを俵担ぎで連行して行った……」
    晶「さすがレノックスですね」
    ネロ「あいつらのやり取り、何度見ても冷や冷やするよ」
    ファウスト「……」
    晶「あれ、ファウスト。どうしたんですか、帽子で顔を隠して。……泣いてるんですか?」
    ネロ「あ、もしかして嬉しいんだ、先生。よかったな」
    ファウスト「ふふっ、やかましいよ」
    ネロ「痛っ、スネを蹴るなって」
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    km64_lf

    DONE12月17日DRF頒布予定の新刊【レノックス ・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】のサンプルです。
    全13話のうち6話までを公開いたします。
    頒布についての詳細は後日投稿するお品書きをご確認ください。

    パラドックスロイドの世界でのレノックス とフィガロのお話です。
    ・捏造多め
    ・モブキャラが喋ります
    ・描写はないけどやることはやります
    ・そのほか諸々、大丈夫な方向け
    12/17DRFレノフィ新刊【レノックス・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】 だが私は今も夢に見る、あれが芝生を、
     露を踏んで、影のように歩む姿を、
     私の歓びの歌に、いにしえの大地の
     夢多き青春を歌う私の歌に心おののかせながら。

    (The song of the Happy Shepherd / W.B.Yeats)(訳:高松雄一)

        1

     レノックス・ラムがいつも見る夢がある。
     ヘーゼルグリーンの菱形の瞳孔に冬の海のような灰色の虹彩をした不思議な瞳の男と、一緒にいる夢。ここではないどこかで、笑ったり、踊ったり、時には喧嘩をして仲直りをしたり。幼い子どもの世話をしていることもあれば、ふたりだけで晩酌をしていることもある。
     男の名前はわからない。夢の中でははっきりその名を呼んでいるにも関わらず、記憶は目が覚めると同時に急速に霧散し、夢の概要と不思議な瞳のことしか覚えていないのである。
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