大倶利伽羅のカラクリ箱 鶴丸の部屋には一つ、カラクリ箱が置いてある。四角い、木製の小さな箱だ。鶴丸は時たまそれを開けようと挑戦していたが、うまくいかないようだった。
「昔は、開いたんだがな。仕掛けがどこかで引っ掛かっているのかもしれん」
箱はなにか入っているようで、中で硬い物がぶつかる音がする。
「まあ、今はきみを育てるので忙しいしな」
にっと鶴丸は笑う。
大倶利伽羅はこの本丸の中では比較的遅い顕現である。そのため、日々この鶴丸によって厳しく鍛えられていた。鶴丸の練度は頭打ちで、今は出陣よりも新人教育の方に深く携わっている。
「貰い物だったんだ。何度もひっくり返して、いじって、初めて開けられたときはそれはもう驚きだったものさ」
1995