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    さばみそ定規

    @SoySauceHirai

    絵と文の下書き置き場

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    さばみそ定規

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    五夏がちょっと会話する

    #五夏
    GoGe
    #女体化
    feminization

    当主×高専♀ 7「オマエ今日どうした?」

    「え?」と夏油が顔を横に向けるが、視界に映るのは真白い袴と履物だけだ。

    夏油は久しぶりに五条に呼ばれ、また体術の稽古をつけてもらい、何度目かわからないが、地面に転がされたところだった。

    「何か私、変なところある?」
    夏油が尋ねると五条は、
    「なんつーか…うーん……」
    後頭部を掻きながら口ごもった。

    そのまま問いには応えず五条は、夏油に尋ね返した。
    「何かあったのか?」
    「何かって、何が?」
    なかなか要領を得ないやり取りが続く。
    「高専とかで、何かあったのか?」
    「別に何も無いけど…」
    まるで父親が娘に「学校はどうだ?」と聞いているみたいだ。
    夏油がそう考えていると、五条がムスッとした。
    「なにニヤニヤしてんだよ」
    「いや別に。…というか、心配してくれてるんだな。ありがとう」
    「何1人で完結してんだよ。つーか何かあったか聞いてんだけど。」
    「別に何も無いよ。変に見えたかい?」
    「変っつーか…。
    元気無さそうに見えたから…」
    それを聞いた夏油は小さく笑った。
    「やっぱり心配してくれてたんじゃないか。素直じゃないなぁ」
    五条は拗ねた様子だった。
    「うるせーな!オマエが言ったんじゃねーかよ。
    大事な奴のことは気にするんだろ。」
    五条は以前、夏油が言っていたことを指していた。
    それを聞いた夏油は、たまらなく嬉しくなった。
    「君は良い人だね。本当にありがとう」
    「別に…。俺ら友だちなんだろ。これが普通なんじゃねーのかよ」

    友だち。
    夏油が以前自分たちの関係を指して言ったのである。
    直近にあったお見合いで、相手の真意を探る為に、五条の愛人として振る舞っていた夏油としては、一瞬ドキリとした。

    「愛人」よりは遠い関係だが、やはり「友だち」の方がしっくりくるし、何よりあたたかいな、と夏油は考えた。

    「そうだね。友だちとしては普通かもしれないけど、でも、私が嬉しかったからお礼を言ったんだよ」
    「律儀な奴だな」
    「なんでも…ってわけじゃないけど、なるべく良いことは口に出した方がいいよ」
    「ふーん。やっぱ友だちってめんどくさいな」
    「諦めるなよ」
    2人で笑い合った。

    呪術師界隈の面倒事など、2人の間には無く、ただお互い気兼ねなく関わり合える関係性が、2人にはあった。

    自分と違ってその資格がある者が⸺五条の隣りに、妻になる女が現れるまでは、自分が「友だち」として、五条の一番近くに居ても良いだろう。その時が来るまでは、その権利が自分にあるだろう。
    夏油はそう考えていた。



    五条と会った翌日、何度目かわからない学長・夜蛾からの呼び出しを受けた。
    「縁談ですか?」
    夜蛾は言い淀んだ風に、黙ってしまった。
    夏油がその机に目を向けると、男性の名前や家系について書かれた紙が見えた。

    前回、相手の男性に言われたことは夜蛾に伝えており、その時は厳つい顔を更に険しくさせていた。

    「こうも矢継ぎ早に話がくるのはおかしい。これまでの縁談も五条家か、上層部が関わっているだろうと思われる。
    おそらくお前がどこかの家に収まるまで縁談は止まないだろう」

    「五条家にとって私が邪魔な存在なんでしょうか」
    「…まだ五条家によるものかもわからないから、何とも言えんな。」
    夏油が考え込んでいると夜蛾が「とにかく、」と言って続けた。
    「この縁談は断ることにしたか。構わないな?」
    えっ、と夏油は声を上げた。
    「大丈夫なんですか?高専の立場とか…」
    「確かに、お前の家は非術師だから、代わりに高専が縁談を仲介している。
    だが生徒の意思に反することは勧められない。
    とにかくお前に結婚の意思が無いことを伝えさせてもらう」
    夏油は申し訳無い気持ちになった。
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    kaoryu12273

    PROGRESS3~6月に出すかもしれない話の冒頭です。
    相変わらず記憶なし×ありの転生。
    舞台はずっと未来かもしれないこの列島の何処かです。
    もし一言でもあれば、こちらから!
    https://wavebox.me/wave/3vwvg0bho3p7xq56/

    イベント中に増えるかもしれないし、Xで連載をはじめるかもしれません。
    いつか一緒に 昨日知り合ったばかりの男は不思議な家に住んでいる。
     階段は外付けで、外壁は淡いミントグリーン、幼児が積み上げた積み木のように、少し凹凸のある三階建て。
     雨ざらしになっているせいか、ところどころ塗装が剥げていて、鉄さびが滲み出ている頑丈そうな階段を昇りきると、何もない屋上に辿り着く。本当に、何もないわけではない。洗濯物干しと台風でもきたら吹き飛ばされそうなプラスチックか何かでできている白い椅子が一つ、ぽつりと置かれていた。
     朝焼けも夕焼けも似合いそうな建物は、だけど北向きの路地に建っていた。周囲も家屋に囲まれているから、反対側がどうなっているのか、一見するだけではわからなかった。
     悟は目に付くあたりがどうなっているのか、その区画をくるくると歩いていた。平均よりもずっと長身の背丈を活かしても、やっぱりその内情は伺えなかった。
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