楽しいお喋り 新居での二人暮らしが始まって早三週間。揃って食べる夕食の時間はまだまだ新鮮で楽しい。
百貨店勤めの鯉登が遅番で帰宅が遅い日は、月島が夕飯作りを担当している。二人とも同じくらいの帰宅になれば一緒に作るし、鯉登が休みの日は夕飯をバッチリ仕込み玄関先で「お疲れ様♡」のハグをするのが定着してきている。
「でな、そしたらそのネコさんが」
今は、鯉登が茶碗を持ったまま、勤め先裏手の休憩スペースに最近出入りする地域猫の話をしているところだ。勿論口の中のものは飲み込んだ後だが、箸も動かずお喋りが止まらないでいる。しょうがない。スタッフ間で噂には聞いていたものの、なかなかお目に掛かれなかった猫とやっと出会えたという話なのだから。
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