宇宙の女神様 宇宙を眺めると、どこからでもそれが見える。
「今日も、美しいですね」
それに気が付いたのは3ヵ月ほど前だろうか。
巨大な赤い星雲である。
しかも、驚くなかれ、それは人の形をしていた。それは、いつも暗い宇宙に横たわって、瞳を閉じている。それが分かるほど、それの顔のつくりは、はっきりとしていた。やわらかな髪が、運河となり波打っている。身体のラインもなめらかで、実に優美だ。それは見るたびに少しづつ違うポーズをしているが、基本的には両手を揃えて枕にし、横たわっていることが多い。
私以外には見えていないのが残念だ。
「いい色だ」
宇宙の女神というものが存在するのであれば、まさしくあれのことではないだろうか。
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