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    メメモリ

    @morimeme_

    思い付きの短文とか進捗(ケツ叩き)とかをここに載せてます。

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    ⚠刀らぶ /山姥切 本科と写し /童話パロ
    “持てるものこそ、与えなければ”

    幸福な王子 ある貧しい国の片隅に先代の先代のもっと昔の、最も幸福だった時代の最も幸福な王子の像がありました。ある日、傾いた国を任された王子の国広がそこに訪れて「幸福な王子さま助けてください。国積で財政破綻しそうです」とお願いすると、幸福な王子は「これで借金を返してこい」とブルーサファイアの瞳を国広に与えました。幸福な王子のブルーサファイアのおかげで何とか国は財政破綻を免れました。
     それからまたある時、幸福な王子の元に国広が訪れて「幸福な王子さま助けてください。貧しい国民に城を燃やされそうです」と願うと、幸福な王子は「仕方ないな偽物くんは。これで貧しい国民に炊き出しでもしろ」と言って銀の髪を与えました。国広はそれを国一番の機織り師に渡すと、美しい銀の髪は世にも珍しい銀色にかがやくきらびやかな織物になり、そのおかげでたくさんの金貨を得ることができました。国広は国民に豚汁を振る舞い、病気の者には薬を与え、何とか国民たちの暴動を抑えました。


     それからしばらくしたある雪の日、ぼろぼろになった国広が幸福な王子の元を訪れました。「もう何も持っていないぞ。この布しか持ってない」幸福な王子がそう言うと、国広は「それで十分だ」と言って布に包まり、幸福な王子の像の足元に座りました。「最期にあんたの側にいられて、俺は幸せだった…」国広はそう言って、目を閉じました。幸福な王子はそれを見て、涙をひと粒零すと、それからはもう一言も言葉を話すことはありませんでした。
     人々に忘れられた幸福な王子の像と、かつて貧しい国を建て直そうとした最後の王子は、滅びゆく王国の片隅で静かに長い眠りにつきました。いまではその場所は、春になると、美しい白い花に寄り添うように小さな可愛らしい黄色の花が咲き、子どもたちの笑い声がたえないといいます。
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    MOURNING風ピとの追いかけっ子の最中、流浪の逃亡に協力する謎のグランツ族現る————!?☆

    流浪者✕風格のピンク(探配) https://privatter.net/category/22116
     ノートンは追われていた。例の新入りのポストマン、もとい風格のピンクと呼ばれている手袋をしたポストマンに……いや正確には、その彼の配達犬に、いままさに追いかけられている真っ最中である。配達犬が〝飛びかかる〟のは、ゲームでの、ハンターを相手にした時ではなかったか。勿論いまはゲームの時間ではないし、ここは実験場ゲームマップではなく居館の廊下だし、ノートンはハンターではない……そんなことは言うまでもないのだが、何にせよ、ノートンはいま風格のピンクの配達犬に牙を剥いて飛びかからんとする勢いで、追いかけられていた。
     ノートンは犬が苦手だ。とりわけ人間に飼われている犬というやつは、どいつもこいつも自分を見るなり警戒心を顕に吠え立ててきた。だからむしろ、ノートンのほうより先に犬のほうがノートンを嫌っているのである、自分に敵意を向ける存在を好ましく思えというのも無理な話だ。そも、動物に好かれるたちでないのは、ノートン・キャンベル——この荘園における〝探鉱者〟の面々におおよそ共通した性質ではあるのだが、このノートンに至っては、それだけが理由ではないかもしれない。
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