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    豚野郎

    @kakur_iji

    アレなの置くとこ

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    豚野郎

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    ・転生パロ羂髙♀のつづき
    ・モブ髙♀の合意のないすけべに至るまでの回想シーンあり
    ・途中まで書きつつ他に書こうとしてるやつがあるのでコレいつ完成するかわからんな…ってんで進捗です

    祝福あれかし 転生したらナントカだった。そういうタイトルのマンガを見たことはあったけど、まさかそれが自分に降りかかることになるなんて、誰が予想できるだろう。

     前世でお笑い芸人やってたら脳ミソ弄られて呪術師になっちまった(今思うとこの時点で面白い人生だなぁ、俺にマンガが描けたらよかったのに)俺は、運命的な出会いで相方を得て、失った。時間にすれば一日もない相方。されど一生忘れられなかった相方は、俺の一生を埋め尽くすだけじゃ足りなかったらしい。

     俺は、記憶をそっくりそのまま持って、人生二週目をスタートさせた。髙羽史彦のまま――じゃなくて、俺を性別だけチェンジさせたらこうなんだろうなぁ、って見た目の女の子、”髙羽史子”として。……安直過ぎない?神様、俺の両親。千と千尋じゃないんだからさ。思ったけど、耳慣れない名前よりはずっと良いし俺の顔でキラキラネームだとバランスが最悪すぎるから早々に受け入れて、どっちかといえば女の体の方が慣れなかった。

     (だって、チンチンないんだもん……)

     今。でっかい鏡の前でシャワーを浴びてる、女の体で無事成人をした今ですら意識する違和感がある。何なら、困ったのはないだけじゃない。もにゅんっ、下から持ち上げたときの質量に、思わず溜め息が出てしまう。
     大は小を兼ねるって言葉は知ってる。でも、自分にくっついてるとそこそこ重い。前世同様にダイナミックに動くとまぁダイナミックに邪魔をして、何なら肩凝りでも地味にダメージを蓄積させてくる。正直、慣れてきた今ですら現在進行形の困り事だ。

    「最初は喜んだぜ、俺も男の子だし!……だったし!……さっ!」

     鏡の前でセクシーポーズをひとつ、ふたつ、みっつ。連続でキメるたびに胸がばるんばるん揺れるものの顔が俺だしちっとも興奮しない。何なら乳デカくなったあたりから女子のアタリがキツくなってああ~俺が知らなかっただけでこういう世界あったんだ~ってそこそこ凹んだっけ。男みたいに喋るって中身が男なんだぞ?仕方ないだろ?

     体が女でも、俺は俺だ。芸人になって笑わせる。それ以外の生き方は考えられなかった。……考えちゃ駄目だとも思った。俺が、俺たちが夢の舞台に立ったから、俺の相方は死んだ。だったら、アイツのいない世界で、アイツの分も人を笑わせる。その為に生きて死ぬつもりだった。
     あんな楽しい漫才を知っちまったらコンビ以外は考えられなかったけど、俺の中身は男なのだ。女から女扱いされると罪悪感がすごいせいで必然的に男の相方を探すことになって、ただどうしても男女より男二人でやってきたいヤツの方が多くて――大学のお笑いサークルで声を掛けられたとき、今の人生で初めてコンビが組めたときは、本当に嬉しかった。

     あのときは、本当に、だって、やっとだったんだ。やっと、アイツの分も笑わせられるんだって、償えるもんじゃないけど弔うことはできるかもって、思ったから。


    *****


     嬉しかった。家でネタ合わせしようって言ってくれて、俺よりもいくらかマシな散らかりようの部屋に上げてもらって、声のボリュームは抑えてだし観客もいないけど漫才やれて、ああでもないこうでもないって言い合って俺が持ってきたコントのDVD見て。

    『って、酒は……せっかくいろいろ調整してるんだぞ?明日になって覚えてなかったら損じゃん』
    『え~~?もう飲んじゃったわ。フミちゃんカタいって、発想の転換するのも大事っしょ。はい』
    『いやいやいや!オマエが飲んだならせめて俺は飲まずに……あ!何で開けっ」

     嬉しかった。喋りすぎたから飲み物持ってくるわって、ジュースかと思いきや缶ビール抱えて持って来られて、いきなり出されたときに断っただろとは思ったけど、最近の若い子ってこんなもんかなって思ったから。

    『フミちゃんと仲よくなりたくて?相方なら本音で話そ、本音と言えば酒じゃん』
    『それは……、……そう、だよな。俺も仲よくなりたい。せっかく歓迎してくれてるのに勿体ねぇもんなぁ』

     嬉しかった。相方って呼んでもらえて。寂しくも思ったけど、それは申し訳ないことだと思った。コツン、缶をぶつけて乾杯して、気持ちごと飲み干して。

    『その飲みっぷりで一缶だけはウソだって、はい、ほら、飲も?飲も?』
    『ええ?い、いやぁビールは好きだけど強いかは別、ぅぐっ…!?ん…っく、げほっ!か、勝手に飲ませんなよっ!零しちまっただろ余計なお世話!!』
    『まだ仲よくなってないし、ってあ~~あ~~服汚れちゃったねフミちゃん!?ゴメン!洗面所向こうだし使って?』

     嬉しかった。

    『ゴメン!ほんっとゴメン!』
    『もー、気にしてねぇって言ってるじゃん!謝ってくれたし、でも本当にこれっきりだぞ?オマエの言ったことも入れてネタ練りたいしさ、せめて一人は頭シャンとしてねぇとダメだろ』

     嬉しかったんだ。

    『フミちゃん』
    『………ぅ、ん。……、……んー……』
    『寝ちゃったかぁ、お酒とおクスリどっちに弱かったんだろ、はは』

     眠気に襲われたこともよくわからないまま、ローテーブルに突っ伏すようにして倒れ込んじまって、そこからしばらく途切れた意識が何かの拍子にゆっくり覚醒して、……気付いちまうまでは。

    『……、……ん、んん…?』

     最初に感じたのは、生温かい感触だった。上と下、顔のあたりと下腹のあたりから。

    『え……え、……え?……え……っ……』

     カーペットの上に仰向けになった俺の上に、誰かが乗っかってて、誰かなんて一人しかいなくて、トレーナーがシャツごともっと言うとブラごと捲り上げられてて、――ゴツゴツした男の手が無駄にデカい胸に重なってる。ワケがわからなかった。もちろん何されてるかはわかる、でも、俺は相方だから、あり得ないはずだった。

    『……は?起きたのかよ。早っ』
    『な、なぁ?……オマエ、どういうギャグ、これ……』
    『あ~~……俺さぁ、フミちゃんのことかわいいって思ってたんだよね。組んだのもお近づきになりたかったからー、ってのもあったりしてさぁ。付き合お?』

     都合が良すぎることを言われてるのは、流石にわかった。俺が抵抗したらマズいから合意にしたいんだ、マズイから、そこまで思って下腹が生温かいだけじゃなくてスースー寒いことに気付いて、息が詰まった。胸だけじゃない。ジーンズが太腿まで下ろされて、下着だけにされている。ぼんやり思った生温かいの正体も、精神的には男の俺が理解するのは早かった。

    『なっっ、な、何…!!言ってんだオマエ……っ、そんな、――』

     だから、ゾゾゾッと怖気と一緒に湧き上がる気持ち悪いを叫んで突き飛ばすつもりだった。でも、俺はそうしなかった。怖かったからだ。相方のはずの男から強引に酔わされてレイプされかけてる状況が、じゃない。

    『…………はぁ』
    『あ、』

     ”面倒臭い”。コンビ解散を言い渡されるときに何度も見た瞳を向けられるのが、全身の血が引いていくような”要らない”を向けられるのが、俺が殺したアイツを弔うことすらできないクズになっちまうのが、何よりも怖かった。
     歯がかちかち震えそうになって、息が上手くできなくて、駄目だ、気付かれたら面倒だって思われて、おしまいになる。助けて、思うと一緒に頭に浮かんじまったのは、絶対に助けてくれないかつての相方なんだから本当に駄目だった。

    『ま、待って!!?付き……合う、俺、オマエと付き合う!ごめん、ごめんなさいっ付き合うからっ、頼むよ、捨てないで……っっ』

     結局。駄目になりたくなくて、俺は合意にすることを選んだ。今ならバカだって思える。でも、俺の特別がどうにかなっちまうよりは俺がどうにかなる方がいいって、本当の本当に思っちまったんだ、あの時は。

    『……え?マジ?あ~~よかったフミちゃんかわいくて賢いとか嬉しいわ。おっぱいもデカいし最高』
    『っ!?あ、そ……そっかぁ、かわいさに免じて優しくして……欲しいなぁ、あ、ははっ……』
    『するする。付き合って初めてのエッチでヒドいことするように見える?傷付くわー、後で挟んで慰めてもらお』

     五分五分を超えてハダカに剥かれていく俺の目に映っているのは、面白いものを見る目で笑ってくれている相方で――嬉しいことのはずなのに、俺の中に嬉しいが浮かび上がってくることはなかった。


    *****


     きゅっ、捻ってシャワーを止める。一緒に考えも止める、嘘、すんなり止まりはしてくれないけど、ぶるぶると首を振って髪の水気を落としてタオルを手に取る頃にはちょっと頭も冷えてくれた。

    (……嫌なこと、思い出しちまったな)

     ふかふかのタオル越しに手をわしゃわしゃ動かして頭から要らないを散らしていく。今は元相方になってしまったヤツとの全部が全部嫌な思い出ってわけじゃない。俺とお笑いにかける真剣さが違っただけで、ネタすり合わせたのも漫才の練習をしたのも実際に舞台に立ったのも事実だ。
     後に自白した理由のせいで恋人らしいお付き合いは薄かったけど、それは俺も同じだ。向こうは好きにできる彼女が欲しくて面倒に蓋をしてコンビでいたし、俺は漫才のできるコンビでいたかったから嫌だに蓋をして彼女でいた。

     お互い様だ。最後の方はお笑いがしたい俺が拒むことが多いせいで破綻したんだから、非で言えば五分五分じゃなくて俺の方が七ある感じだと思う。

    『はあぁああ?マジで言ってる?あのさぁっ君がコンプラギリギリ衣装着すぎて感覚狂ってるだけで昏睡レイプなんて訴えたら勝てるからね今すぐ――ちっ。二度とツラ見せるなクソとは言ったよ?言ったけど覆面して闇討ちはギリギリないよないよねあるかもねに入るでしょ。チンポ潰してやる方が社会の益だよ』

     うん、……アイツは思いっきり向こうが十どころか百の勢いで捲し立ててたけど、俺はそう思うからそれでいい。今を引き起こしたと思うと手放しにいいとは言えないけど。タオルに顔を押し付けたのは、湯を止めたのに顔が熱くなってきたからだ。ぐしっ、ぐしっ、荒めに顔から体全体までを拭って、湯気で少しぼやけた鏡に向き直る。
     もしかしたらを期待して何度見たって変わらない、乳でっかくて腹筋ちょっとしか割れてなくて太腿ムチムチでチンチンのついてない”いつもの”体。だよなぁ、……でも今はそれでいい、それがいいんだろう。浴室から一歩出て、ぱんっと両頬を叩くようにして挟み込む。

    「俺は女の子。女の子!……子っていつまでつけていいんだろ?史子の子だモン♡で乗り切……るのも限界あるぞ、流石に」

     気合い改め答えの出ない疑問を考えるのもそこそこに、バスローブに腕を通して前を結ぶ。ちょうちょ結びが見事にタテを向いてて、中学であんなスカーフ結んだのに慣れなかったなぁ、なんて懐かしくなった。
     雑にドライヤーでまあ生乾きまで持って行って、適当にクシで髪を梳いて、相変わらずわかんねぇなと思いつつ化粧水をぺちぺち顔に叩き込む。こんなもんじゃねぇかな、うん。強引に納得して脱ぎ捨てた服を丸めて持ち上げかけて、ふと浮かんだ疑問に止める。

    「…………パンツって穿くのかな」

     ぼそっと浮かんだままを口にしたものの答えはない。俺が寝るときノーパン派という事実も断じてない。なのにバカみたいなこと言って悩んじまってるのは、それはもう深~~い事情があってのことだ。


    *****


     俺が現相方、前世でも相方だった羂索と再会したあの日。恋人兼相方を上げることがあったから前世より小マシな散らかり様のアパートで俺たちは積もりに積もった話に花を咲かせた。ネタ帳に思いっきりダメ出しされてちょっと泣いて、宅配ピザ食いながら撮り溜めたお笑いDVD見て笑って、嬉しすぎて貰い物のとっておきの日本酒を空けて――

    『…………いい加減にしろよ。君、チョロすぎ。言われない?言われたよね?言われてない方がいっそ引く』

     すっっっごい怒られた。
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    😭😭😭😭😭😭😭😭💴💴💴💴💴💴💗💗💗💗💗💗💗💗💗💗
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    Replies from the creator

    豚野郎

    MOURNING #RTの早い5人に落書き投げつける見た人も強制でやる
    というタグで頂いた「幼馴染で同じ大学に通ってるまだ付き合ってない(きちんと告白はしてない)羂髙︎︎♀」を書くぞと導入を書いたら大学生になるまでがもう長いやんけ!!!!!!!ってなったので続きを書いてお題とするか別物にするか悩んでる何か、記憶なし→あり羂×記憶なし髙の小学生羂髙♀(オチてない)です。
    運命的、絶対的 運命を信じるか。夢見る乙女よりも占い師よりも宗教勧誘が口にしてこそ相応しいフレーズを投げかけられたならば、私はイエスと答えるだろう。
     前世でほんのひと時、一日どころか一時間にも満たない、累計千年を生きたことを思えば一瞬――されど、鮮烈。正しく運命の出逢いと別れを得た人間と、新たな生でもう一度、幼馴染としてめぐり逢えたのだから。私が記憶を思い出せたのは、ああ、本当に幸いだった。

     運動会の練習中だった。競技に使う太い支柱が、私の目の前でグラついた。凶器が振り下ろされる、それはスローモーションを見ているようだった。
     玉入れ用の玉をせっせと一人集めていた、真面目と言うべきか馬鹿と言うべきか、気にも留めていなかった同級生その一、
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    豚野郎

    DONE・人違いで夏(記憶ないよないよねあるかもね)とピンチャン組むことになった髙(記憶あり)の話。エンカウント編。
    ・髙のバカサバ後についてのあれこれ捏造過多。
    ・前回から三年~経っているので距離感が近いです。夏髙かもしれないし+な親愛かもしれない、今の段階ではふわっとした何かとして書いています。
    ・羂髙は羂髙です。非+です。
    もう何もこわくない 結局、俺は怖がりなんだと思う。

     一回目の髙羽史彦だった頃、俺はいろいろあって三十路になってからオバケが見えるようになった。された、が正しいのかもしれない。
     シメツカイユーってデスゲームの最中、道を歩けば出るもんだと思ってるときは大したことなかった。笑顔を奪うなら俺が容赦しねぇってヒーローの気分でいられた。でも、終わってから、相方を失ってから、怖くなった。
     危ないオバケと認識して対話してこなかったやつも、本当は対話できたんじゃないか。そう思うと怖くて、それは違うと諭されても怖くて、オバケに絡まれても無視の選択肢だけは選べなかった俺は、……まあ、長生きはできなかった。

     一回目のオチで覚えているのは、手だ。俺に伸びてくる無数の手。目、鼻、口、耳、全部を覆っていく――
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