鍵を開けると、家の中は明るく、ああ、やっぱり、と思った。
「恭二!おかえりなさい!」
そう言って現れたピエールが抱きついてくるのも予想通りだった。なぜなら、駐車場にSPさんの車があったからだ。ピエールは俺と付き合い始め、俺が鍵を渡してからはたまにこうして家で待っているようになった。
「ただいま、ピエール。……明日、オフか?」
「うん!」
これも予想通りの答えだった。ピエールは翌日オフの時しか、俺の家を訪れない。さっきの質問には下心しかなかったが、ピエールだってきっと同じだろうと思い、自分の中の恥ずかしさを誤魔化す。
「夕飯は食べたか?」
「うん、ボク、食べた!恭二は?」
と言いながら、ピエールの目線が俺の両手に行く。俺の持ってる袋にも気がついたはずだ。
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