暴力でさっさと解決「っつーか、お客さん闘えるのかい? その見た目で、実は元不良だったりすんの?」
「んなわけ」
そうかい、とムウは煙を吐く。彼は「気付けだ」と言って、とっくに辞めたらしい煙草を久しぶりに吸っていた。
真夜中、カオメーオとムウがいるのは暗い路地裏。ゆらりゆらりと紫煙が上がる向こうには、明らかに不穏な空気を纏う男2人。狼系統と、虎系統の獣人がこちらを見ていた
だが、この緊迫した状況で、カオメーオは一切恐れを抱いていないようだった。抑揚と言葉数をできるだけ削ぎ落したような、冷静な喋り口に変化はない。
ただ、いつもは眠たそうに細めた目が、今ははっきりと開かれている。ムウに淡々と返事をしながら、視線は男らに真っすぐ注がれていた。
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