これ面白い…? 金欠①
「……ガルドが無い」
ぼそり、と誰かが呟いた。
ベルベットは俯きがちだった顔を上げる。誰だ、そんなわかりきったことを言ったのは。
残念ながら、旅というのはあらゆる意味でお金がかかる。突然始まったベルベットたちの旅は、当然持ち合わせなどほとんどない。
──故に、いつもギリギリである。
「……ロクロウ。今ガルドのことを言ったのは、アンタ?」
ギロリ、と音が出そうなほど強く睨みつければ、ロクロウは両手を上げて降参のポーズをする。
「悪い悪い。だが、金がないのは事実だろう? なぁ、ライフィセット」
「……お金、ない」
話を振られたライフィセットは、表情を変えずにぽそりと呟き頷いた。
「……」
事実は事実であり、それ以上でもそれ以下でもない。ベルベットははぁあ、と大きなため息をはくと、さてどうしたものかと考えを巡らせる。
479