5人組の人気アイドルLuxiem
リーダーのヴォックス筆頭に個性豊かなメンバーで構成されているこのグループは、世界的にも人気で先月もツアーが発表され、それに続き各々の新しい仕事が発表されまさに人気絶頂。
その中の1人ミスタは、現在月9ドラマの最終話の撮影が終わり、同じグループのメンバーで人生のパートナーのシュウが待つ家に急いで帰宅中。撮影期間は朝早くから夜遅くまで撮影があり、必要であれば遠くへロケにも行く。また、シュウもラジオやレギュラーの番組や音楽番組の司会などで家空けており2人でゆっくり話をするのは本当に久しぶりだ。
お互いLINEや電話はするがそれでも長くて10分程度。圧倒的シュウ不足だ。
先程シュウから「ご飯の用意できてるよ!」ととでも可愛いスタンプとともに送られてきて、それだけで胸がいっぱいになる。
マンションにつき急いでエレベーターで上に上がる。防犯のためとはいえこのエレベーターもやけに多い鍵にもイライラしてしまう。それくらいシュウに早く会いたいのだ。
玄関が見え、そのままドアを開けるのではなくインターホンを押す。すると奥から足音が聞こえ、かわいいかわいい私の奥さんがこれまた可愛い可愛い笑顔で「おかえり!」と迎えてくれた。これだ。これが見たかった。
「ただいま〜!シュウ〜!♡♡♡」
抱きつきたい気持ちを抑えつつ急いで手を洗う。
しっかり手洗いうがいをしてから後ろにいるシュウに向かって腕を伸ばす。するとシュウが腕の中に飛び込んでくる。ミスタより少し低い身長がまた可愛い。
「ん〜〜〜〜♡♡♡♡♡♡」
「ふふ、くすぐったいよ」
久しぶりのシュウだ。ずっと会いたかった。
「もう、ご飯冷めちゃうよ。自信作だから早く食べて欲しいな」
「え!!なにそれ!!かわいい!!食べよ!すぐ食べる!!」
そうは言いつつも弾き剥がそうとしない所も、食べて欲しいなと少し甘えた声も全てがかわいい。すき。
手を繋いでリビングに行くと豪華なご飯が。レストランのようなフルコースではなく家庭的なご飯だ。殆どがミスタの好きな物で味付けもミスタの好みになっている。
ドラマも終わり、今日だけは好きなだけ食べてやるという気持ちで食べ始まるとあっという間に完食。デザートまでしっかり完食した。好きな人が作ったご飯って何よりも美味しく感じるのはなんでだろう。愛の力かな?そう言うとシュウは恥ずかしそうにもう!と怒ってきた。かわいい。
ご飯を食べ終え、2人でお風呂に入り数ヶ月ぶりの貴重なイチャイチャ時間を楽しんだ。
お風呂から出てお互いの髪を乾かしていると鏡越しにシュウが悲しそうな顔をしていることに気づいた。
「…シュウ?どうかした?」
「え、」
「私何かしちゃった?!どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?💦」
「……」
「シュウ……?」
全然話してくれないどころか俯いてしまったシュウに驚き、どうすればいいか分からず抱きしめる。
私何かした?の問いに返事がないということは本当に何かしたのだろうか。
どうしようどうしようと焦っていると「……の…に」と声が。
「え?」
「私のミスタなのに……」
「うん」
「私、ミスタの髪の毛好きなのに……」
「うん」
「あの人のために切っちゃって……」
「……うん?」
確かにミスタは今回のドラマのために長く綺麗に伸ばしていた髪をバッサリ切った。ウィッグという選択肢もあったが元々地毛でやっていたのを急にウィッグに変えるのは違和感しか残らないと思い、自分から地毛を切ると監督に申し出たのだ。
そのおかげかドラマの視聴率は伸び、周りやファンからも可愛いと大反響だった。その際シュウと似合っていると褒めてくれた記憶がある。だから余計に気に入っていたのだが……。
「ミスタのショートカットも可愛いよ。本当に。それは嘘じゃない。誰にも見せたくないくらい可愛いし大好きなの」
「うん」
「でも……あの人のために切ったって思うとイライラしちゃって……お仕事なのに……。ミスタ何も悪くないのに…ごめんね…」
「私のミスタなのに……。」
そう言うとシュウは泣き出してしまった。
シュウの言う"あの人"とはドラマの相手役のこと。確かに話の中では相手がショートが好きだから切るというベタな話があった。まぁたしかにあの人のために切ったということになるのか…?と言う考えもよぎったが、そんなことよりもシュウがミスタのことで嫉妬しているということにミスタの頭の中はいっぱいだった。
あのシュウが。嫉妬をしてくれている。こんなことを言えば嫌われてしまうかもしれないが、好きな人が自分に嫉妬してくれるなんて幸せはそうそうあるものでは無い。その事が嬉しく幸せでそれだけでミスタの心は満たされた。
だが、その好きな人を泣かせているのも事実。もちろん仕事のため、ミスタもプロだ。相手役の俳優を好きだなんてことは一切ないし、髪を切ったことも後悔していない。
シュウがミスタの髪をすきだったということは知っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
もう一度シュウをきつく抱きしめる。きっと今のミスタの顔はにやにやして気持ち悪いだろう。「そんなことないよ(え〜〜〜〜!!!!!!!かわいい〜〜〜!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡)」
「でも……」
「私は嬉しいよ♡こんな可愛い嫉妬をしてもらえるなんて…!」
「私の嫉妬なんて可愛くないよ…」
「かわいいよ。全部かわいい。可愛くて愛おしくて食べちゃいたい!!」
「いつも食べられるのはミスタなのに…?」
「もう!!今はそんなこといいの!!」
「ふふ、いいの?」
やっと笑ってくれたシュウに沢山キスをする。瞼や頬やおでこ。きっと誰も知ることがないんだろうが、シュウの肌はつるつる卵肌だ。可愛い可愛い私のシュウ。私のことで頭がいっぱいになるシュウを見るのは気持ちがいい。
最後に唇にキスをする。薄くて先程リップを塗ったからか少し甘い。
いつの間にかシュウの上に跨ぐように座り上からキスをする。確かにベッドの中では私が食べられているが、この体制では私がシュウを食べているようで気分がいい。
それでも舌を入れられれば立場は一瞬て逆転するのだが。
キスの合間にシュウに提案する。
「次美容院行く時さ…」
「ん?」
「お揃いの髪にしよ。マネージャーにも言ってさ、ツアーの髪もお揃いにしよ」
「エクステつけるの?」
「そう。グラデにするからさ、シュウもしてよ」
「んふふ、いいね。私オレンジがいい」
「私が紫?似合うかな」
「似合うよ。私の色だもん」
「ふふ、なにそれ、いいね。マーキングだ。」
「アイクには飽きられるかも」
「一緒に怒られよ」
「え〜、怒られるかな…?」
そのまま2人でベッドに行き、甘い幸せな時間を過ごし翌日の朝には美容院を予約した。
後日上げたinスタにはお揃いの髪の毛に幸せそうに笑う2人が。
アイクからは「バレたらどうするの!?」と怒られたが自分たちが大満足なので問題なし。
急いで事務所に戻りツアーの髪型を決め、ついでに社長にシュウとのデュエット曲を頼んだミスタだった。