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    SakuraK_0414

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    SakuraK_0414

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    365日いつでもバニーを書いてよろしい、と神は仰せになった。なってない。でも今年はウサギ年だし9月はお月見だしそうじゃなくてもバニーを書いて良い。ということで、以前書いたバニーの譲テツ也宮添えの続きです。バニー衣装着るのが恥ずかしくてへにゃへにゃになってる自分の魅力に無自覚な闇医者。
    ちなみにバニースーツ餅つき、というのも二次イラスト的には可愛らしさと色気とポップさがあって良いなと思う。

    You're Bunny.「いや……これは、キツいだろ」
     さすがに、とドクターTETSUこと真田徹郎は独り言ちてそこらへんに置いていたカーディガンを羽織った。誰も見てないとはいえ、さすがにいたたまれない。特注品のバカみたいに大きな衣装一式が自分の体にぴったり沿うように作られているのもいたたまれない。衣装一式の入っていた箱に同封されたパンフレットの中で凄艶に笑うバニースーツを纏った美青年の姿が目に入って、もっといたたまれなくなる。
    (今より30若ければ、とは思いはしねぇが……)
     海千山千、天下の闇医者ドクターテツは危ない橋を渡りもしたし、死にかけたこともある。人生における大概の苦難と規格外の苦難を大方乗り越え、もう並大抵のことでは動じることも無い。
     それが、唸っている。らしくもなく唸っている。部屋の外から扉をノックと一緒にやたら弾んだ同居人の「入っていいですか?」が聞こえてくると重くため息をついた。
     ことの発端はよく分からないがとにかく「バニースーツを着ないと出られない部屋」に入ってしまったことにある。黒須一也と宮坂詩織まで巻き込みつつも無事部屋からは出られたが、恋人をかばうように自らセクシーな衣装に袖を通した和久井譲介は「今度はあなたに着てもらいますから!」と宣言した。
     これは和久井譲介という男を知る者はなんとなく察しつつ明言しないことなのだが、彼はこうと決めたら頑として譲らない意志の強さというものがある。そしてそういう部分が、時折、日常の何気ないシーンで覗いた。
     今がそれだ。
     扉の前で「入りますね」「いやちょっと待て」のやり取りを3度ほど繰り返した時、和久井譲介の元養い親は元養い子が再会時に見せたある種の強情さを思い出し、大人しく扉を開いた。
     らしくもなく満面の笑みだった譲介は肩にカーディガンを引っかけた同棲相手を見ると、ベッドのサイドボードに置かれていたリモコンを手に取った。
    「温度上げましょうか?」
    「いや」
     大丈夫だ、と言う闇医者の声は震えていた。否、もう彼は闇医者としての仕事などほとんどしていないのだが。
     とにもかくにも恋人の挙動がおかしいと、譲介は半ば唖然としながらベッドの傍に屈みこんで、その端に腰かけた徹郎の顔をのぞき込んだ。
    「……恥ずかしい、ですか?」
    「当り前だろ」
     唸るような声が返ってきたが、譲介は頬に朱がさしてうさぎの黒い耳が垂れ下がっているのが色っぽいなぁなどとのんびり思いつつ手を握ってやる。
    「僕は嬉しいです」
    「……好き者め」
    「否定はしませんが」
    「こんなジジイに欲情しやがって」
    「いやでもあなたに破壊された性癖ですから……!」
     責任取ってください、と握った手に力を込める。くそうアンタってば出会ったころから妙に色っぽかったって言うかアンタで色気の何たるかを思い知らされたって言うか10代には刺激が強かった、とぶつくさ言う譲介を眺めながら、ふとドクターTETSUは昔のことを思い出す。
     まだ先代Kが生きていて、あちこちを駆けまわってハリウッド映画ばりの体験もしたあの頃、妙な具合で纏わりついてくる者もそれなりにいた。ヤクザにもギャングにも国王にもひるまない闇医者から何か美味しい餌でも貰おうとしている、とそう思っていた。何せ自分はそれなりに強面だからどれだけ肢体がよくても性愛の対象にはならないだろうと思っていたし、今でも思う。 
    「徹郎さん、何考えてるんですか?」
    「……いや、ただ、あの頃、もしかしたら」
     目をそらして口をつぐむ。じわじわと体温が上がっていく。
     そう、もしかしたら。
    (もしかしたら、違うのかもしれない)
     白い襟を飾った首筋が赤くなっていく。ね、と31も年下の甘えた様な声がした。
    「僕のほう見て、こっち集中して」
     クイと顎を持ち上げられ、カーディガンが肩から落ちる。黒いストッキングを履いた脚を膝で割り開いて、譲介が笑う。
    「あなたに何もできなかった輩より、僕の方がもっとずっとよくできますから」
     勝ち誇ったように。
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    SakuraK_0414

    DOODLE365日いつでもバニーを書いてよろしい、と神は仰せになった。なってない。でも今年はウサギ年だし9月はお月見だしそうじゃなくてもバニーを書いて良い。ということで、以前書いたバニーの譲テツ也宮添えの続きです。バニー衣装着るのが恥ずかしくてへにゃへにゃになってる自分の魅力に無自覚な闇医者。
    ちなみにバニースーツ餅つき、というのも二次イラスト的には可愛らしさと色気とポップさがあって良いなと思う。
    You're Bunny.「いや……これは、キツいだろ」
     さすがに、とドクターTETSUこと真田徹郎は独り言ちてそこらへんに置いていたカーディガンを羽織った。誰も見てないとはいえ、さすがにいたたまれない。特注品のバカみたいに大きな衣装一式が自分の体にぴったり沿うように作られているのもいたたまれない。衣装一式の入っていた箱に同封されたパンフレットの中で凄艶に笑うバニースーツを纏った美青年の姿が目に入って、もっといたたまれなくなる。
    (今より30若ければ、とは思いはしねぇが……)
     海千山千、天下の闇医者ドクターテツは危ない橋を渡りもしたし、死にかけたこともある。人生における大概の苦難と規格外の苦難を大方乗り越え、もう並大抵のことでは動じることも無い。
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    SakuraK_0414

    DOODLE譲→テツで、譲介くんがクエイドに行くぞ!となる話。細かいところはもう色々捏造してます。時間とか季節のこととかめちゃくちゃです。朝倉先生が診療所に来た頃のイメージで、遅れてきた七夕ネタでもあります。
    コンビニ店内でかかってる曲はモー娘。22の「Chu Chu Chu 僕らの未来」、譲介君がこの歌詞僕のことだ…ってなってるのはモー娘。19の「青春Night」です。参考しながら読むと楽しいかもしれない
    青春Nightに僕らの未来「……モー娘の新曲だな」
     コンビニの店内、隣に立つ譲介が、あの和久井譲介が呟いたので黒須一也はぎょっとして彼を見つめた。店内には確かに女子グループアイドルの楽曲が流れているが、こんな難しそうな曲、しかもワンフレーズを聞いただけでそれが分かったのか、と一也はますます目を見開く。
    「……なんだよ」
     じろりと譲介が睨んだ。あのハマー乗りの闇医者そっくりの長い前髪の合間から覗く左目の迫力に気圧されて一也は黙り込む。
    「お前だってモー娘。くらい知ってるだろ、僕らは世代だし、どこ行ったって流れてたし、ラブマシーンとか」
    「あ、いや、その、譲介はアイドルとか興味ない、というか好きじゃないと思ってたから」
    「別に興味はないし好きでもないぞ」
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    SakuraK_0414

    DONE譲テツのなんかポエミーな話です。
    譲テツと芸術と27階時代からアメリカ寛解同居ラブラブ時空の話になりました。
    最初のジャズは You’d Be Nice to Come Home Toです。裸婦画はルネサンス期の任意の裸婦画、文学は遠藤周作「海と毒薬」のイメージです。引き取ったなりの責任として旅行とか連れて行ってたテツセンセの話です。
    ムーサ、あるいは裸のマハ。副題:神の不在と実在について。ムーサ:音楽、韻律の女神。ブルーノート東京にて。

     いつだったかの夏。
     学校から帰ってくるなり来週の診察は譲介、お前も付いて来い、と言われた。家を出るのは夕方からだと聞かされてちょっと安心したものの熱帯夜の続く8月の上旬のこと、内心うんざりしたが拒否権は無かった。この間の期末テストで学年1位だったご褒美だ、と言われたからだ。
     成績トップのご褒美が患者の診察についていく権利って何だよ、と思いはしたがこのドクターTETSUという様々な武勇伝を引っ提げた色々とんでもない身元引受人が医学を教えるという約束を反故にしないでいてくれたのが嬉しかったのもある。
     当日の夕方の移動中ドクターTETSUは僕に患者の状態などを説明してくれたが、内心落ち着かず、どこに連れていかれるのか気になって話はあまり聞けていなかった。これを着ていけ、と上から下まで真新しい服一式を渡されたからだ。サックスブルーと白のボーダーシャツにネイビーの麻のサマージャケットをメインに、靴は通学に使うのとは違うウィングチップの革靴まで差し出されたのだ。普段は政界・財界に影響力を持つ患者の対応をいつもの制服で対応させるこの人がこんな服を持ってくるなんてよっぽどの患者なのか、と身構えてしまった。多分それは横にいる大人にはバレていたのだけれど、彼は指摘して叱るようなことはしなかった。
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