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    特にストーリのない関係性の話
    おそらくハッピーではない

    生きているのか死んでいるのか飛沫のかかりそうなほどの水際に、しゃがみこんだ背中を見つけて歩み寄る。覗き込めば、リンクの足元に小ぶりのクラゲが転がっていた。遠慮のない指先でつつかれて、脱力しきったやわらかな傘を遊ばせている。

    「もう死んでいますから、やめてあげて」

    言うと、透明なジェリー層に触れていたリンクは顔を上げた。どうして、と言いたげな面差しで。
    
左の頬のなめらかな曲線に影が差込み、目鼻の陰翳を色濃く際立たせている。私の影だ。暗く落ち込んだ頬の中で、二つの目が湖面のように浮かんでいる。
    
「毒が、あるかもしれませんから」

    視線が揺らいで、それから私を捉えた。見上げる目が、西日の眩しさに細められる。

    「……これは死んでからも、毒を持つんですか」
    
潮風が強い。髪の毛も、シャツも、走り去る風に晒されて乱暴にはためいた。なんのために、そう言い漏らす唇が見えた気がする。私はどんな顔をすれば良いのか分からず、
西日が私を黒く塗り潰すようにと願った。

    かつての私なら、答えを導くことが出来たのかもしれない。その問いがどれだけ愚かでも、不毛でも。リンクが答えをほしがるなら。

    眠りと時間が私を変えた。
    リンクは変わらなかった。
    痛ましいくらいに透徹な性質を、根源を、それだけを持ち続けたまま生きている。そうして私に問う。何度も、何度も。
    だから私は今でもリンクの隣にいる。
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    hisoku

    DOODLE昔書いた掌篇小説です
    杉語り、尾の寝る時の癖に気付いた話です
    両手に収まりきらない程の 同棲を始めて毎晩一緒に寝るようになって、尾形が寝ている間はいつも両手を握っていて、ぐーをしている事に気が付いた。毎晩、毎晩、時には眠る前に手を繋いでいたりすることがあっても、いざ眠りに落ちて繋いでいた手がするりと解けると同時にぐーになる。きっかり両手を握り締めていて、ぱーの手になっていた事がない。柔くもなく常にきつく握り締められていて、それに気付いてから目にする度に不思議だと思った。
     こいつは力んで寝ているのだろうか、そんな力を入れたまま寝て休めているのだろうか。夜中にトイレに起きたついでに気になって握っている手の指を開かせてみたくなった。腹這いになって尾形の手元に顔が来るように寝そべり、一本ずつ曲げている指の関節を伸ばしてやろうと指に触れる。親指は人差し指の隣につけられていたので、先ずはそれをそっと横にずらした。出来た隙間から人差し指の第一関節を優しく掴むと起こさないよう細心の注意を払いながら手のひらから離すように伸ばしてやる。開いたら、自分の手の甲の縁で押さえて中指も広げようとした時に声がした。
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