誕生日というのは、記憶の積み重ねだ。
キラキラとした星のような思い出が、ミルフィーユのように積み重なって、今日という特別を作りだすと私は思うのだ。
月にノックされて目を覚ませば、空っぽの洗濯機、綺麗なシンク、小綺麗に掃除された部屋たち……そのどれもが今日はなんだか歯がムズムズする程に擽ったく感じる。今日は「私をやっと敬う気になったのかね若造!」と言った調子も踊り回って自分に帰ってきそうにない。
「さて……ジョン、とりあえず少し早めのシンヨコオールナイトスペシャルと洒落込むかい?」
寝癖のついたジョンのフワフワなお腹を撫でれば嬉しそうにヌフフフ〜と少し丸くなる。
小さな手で掴まれたと思えば、エスコートされるように棺桶を飛び出す。たまたま目にしたアニメのエンディングよろしくジョンの叩くタンバリンに合わせて本日の衣装を選んでいく。結局、黄金の丸が一番似合うと言ったいつもの服だ…よく分かってる、流石だジョン。
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