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    らいむ

    @lemonandlimejr

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    💎強火担の早人×🖋️強火担のジャンケン小僧×周り公認バカップル仗露(三十代)の三つ巴です。

    仗露道場2025/1/8「さんかく」(2023/3/30お題)「ねえ、露伴先生。来てほしいんだよ……。ねッ? 来てくれてもいいじゃあない〜〜。ねェ〜〜。ねェえってばあ〜〜〜〜」
    「だが断る」
     涼しい顔で、漫画家は一刀両断に切り捨てる。だが彼の自称・一の子分はくじけなかった。ねェねェと、猫に喩えるにはかわいくないナリでしつこくまとわりついている。
     賢のヤツもよくやるよ……ドゥ・マゴ特製の季節のケーキを口に運びつつ、十五年来の「知人」を川尻早人は白々と眺めやった。
     スゴイヤツに興味がある。まるで接点がなかった早人のもとにいきなり押しかけてそう言い放った大柳賢は、スタンドに目覚めたばかりの戦いで完膚なきまでに打ち負かされて以来、露伴を熱く信奉している。早人に言わせれば漫画家としてはともかく、人としては変人偏屈のおとなげない男としか思えないのだが。
     その露伴はコーヒーカップをカチャとソーサーに戻すと、それをテーブルの上に静かに置いた。
    「だから結婚おめでとう、そう言ってるだろ。なんなら祝儀もくれてやる。だがな、なぜぼくが君の結婚式に出なきゃあならないんだ?」
    「祝儀なんていりませんよ。露伴先生に来てほしい、それだけです」
    「いやだよ。めんどくさい」
     気持ちはわかる。わかるのだが、面と向かって「めんどくさい」はどうなんだ。こういうところが、周りに多い露伴崇拝に早人がいまいち乗りきれない理由だった。
    「ろはーん、そりゃねーだろォ」
     ほら、これがまっとうなおとなというものだ。丸テーブルの向こう正面で極上のほほえみを浮かべている歳上の男に、早人は惚れ惚れと視線をやった。
    「おれは喜んで出席さしてもらうぜ。なんなら露伴も引っぱってってやるしよォ」
    「あんたはお呼びじゃあねーんだよッ!」
     賢は仔ザルのように歯を剝き出した。アラサーとも思えないしぐさだが、童顔で身長もさほど伸びなかった(その点は、早人もひとのことは言えない)賢には妙になじんでいる。だがそれにしても、賢の仗助への態度は露伴相手とは百八十度違っていた。
    「ひとり招待客増やすのにいくらかかるか知ってンのかよ? 歳下にたかンなよなァ。ひじょーしきだッ」
    「非常識はどっちだよ」
     もはや我慢ならないもの言いに、早人はフォークを皿に戻して聞こえよがしにつぶやく。ほっぺの穴から鼻息ならぬ頬息も荒い賢が、「なんだと⁉︎」と振り返った。
    「仗助さんは露伴先生のパートナーなんだ。招待するなら、ふたり一緒が当然だろ」
    「うるさい、彼女もいないヤツが口出すなッ! 祝ってほしいし、祝ってくれる。そーいう相手を招待すんのが結婚式ってモンだろォ」
    「おれは祝う気満々だぜ?」
     頬杖ついてニヤニヤしながら仗助がまぜっ返す。
    「ひょっとしたら露伴以上かも。なあ?」
     我関せずと隣でブラマンジェをすくっている(というところからして、早人には信じられない)露伴の背中を、さも気安げにポンとはたく。露伴は特徴的なの瞳をきょろりと巡らせて、「そうかもな」と認めた。
    「結婚一日めだから何なんだ、とは思うようになったな。それより千日めとか、二十周年とかのが祝われるべきなんじゃあないの?」
     忍耐の証だ、などとのたまう漫画家が日々忍耐しているとはとても思えない。その賞賛にふさわしいのは、いくつになっても服装からして好き勝手な彼を、変わらぬ甘い笑みでくるんでいる仗助のほうではないのか。
     露伴は空になった器を置くと、左腕に巻いた時計をチラと確かめた。
    「ナア、そろそろだぜ」
    「おっと、そうだな」
     仗助は自分たちの分の伝票をつかむと立ち上がる。早人と賢のものはそのままに——こういうところが、早人が仗助を尊敬するところだった。歳下のちっぽけなプライドを、さりげなく尊重してくれるその優しさが。
    「じゃあな。賢、招待状待ってるぜ♡」
    「誰がッ!」
     地団駄踏む賢と、それからもちろん早人にひらりと手を振って、さりげなく露伴の腰を抱いた仗助は颯爽と去っていった。
    「かっこいーよなあ……」
    「どッこが!」
     惚れ惚れとつぶやいたのを一蹴されて、早人は頭の後ろで両手を組む賢を睨みつけた。
    「なんだと⁉︎」
    「ケッ、彼女いない歴=年齢のヤツはこれだから。あのなァ、ぼくらは二人してノロケに付き合わされたんだぜ? 人前でベタベタイチャイチャしちゃってさァ。あーあ、露伴先生も、あいつのどこがそんなにいいんだか」
    「バカにするな! ぼくだって」
     思わず口走ってしまい、ハッと我に返った時は遅かった。ついさっきまでぷりぷりしていた賢が、うって変わってニンマリと笑っている。
    「『ぼくだって』、何だよ?」
    「……」
    「いつもクールで秘密主義の早人クンの恋愛模様! 気になるなァ。だいいちフェアじゃあないよなァ。ひとのことは根掘り葉掘り知ってるくせに、自分の話は一ペンだってしたことないなんてさァ!」
     何だよそれ、言葉の使い方がおかしいぞ。だいたいぼくは、好きこのんで根掘り葉掘りなんかしちゃいない。おまえが勝手にベラベラしゃべってくるだけだろうが!
     絶体絶命の頭の中だけを、立て板に水の勢いで反論が流れていく。何度めかと数える気にもなれないバトルに勝利を収めるべく、早人はおもむろに口を開いた。
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