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    dh12345600m

    @dh12345600m
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    以前書いたSSです。ひふど。

    違法マイクを受けた一二三の話【探】
     ────ちょっと聞いてくんね?
     俺っちさぁ、変な奴に襲われて違法マイク浴びちゃったんだわ。突然「お前のせいで彼女に振られちまった‼︎ 彼女を奪った報いを受けろ‼︎ お前の大切な人を忘れさせてやる‼︎」って恨言を言われて、不意打ちで攻撃されたんだよね。へなちょこリリックでもけっこう効果あるらしくてさ。攻撃を受けた瞬間「少し遅くなるって■■に連絡しなきゃ」って思ったのに、連絡しようとしてた人の事思い出せなくなっちった。LINEの連絡先探してもそれっぽい人全然居なくてさぁ〜。携帯で連絡取れないってなると、待ち合わせ場所に行けなくて怒らせちまうどころか、もう二度と大切な人に会えなくなっちまうんじゃね⁉︎ ってそりゃもう焦りまくりだったんだよね。
     夜中でもギラギラ光るカブキチョーを走って、この時間に恋人が待ち合わせそうな店を何件か回ってもそれらしき人物には会えなくて。仕方なく店まで戻って、まだ片付けしてる後輩くんに「俺っちの大切な人って誰だと思う?」って聞いてみたんだよ。
    「一二三さんに特定の女性は居ないように見えます。枕もしないって話ですし」
     後輩くんは不思議そうにしながらもそう答えてくれた。確かに俺っちは女性恐怖症だ。俺っちに違法マイクを使ってきた奴が「彼女に振られた事への逆恨み」だったから恋人だと思い込んでたんだけど、その言葉で、もしかして俺っちの大切な人は別の関係だったんじゃねーかなってあたりをつけた。
    「俺っちと親しい人……って置き換えたら誰か出てくる?」
    「うーん、一二三さんは交流関係が広すぎて……あっ、チームメイトはどうでしょう?」
     確かに俺っちたちのチームは仲良しだ。この前もセンセーと……あれ? 三人チームのはずなのに、もう一人が全く思い出せない。
    「チームメイトの名前は知ってる?」
    「勿論です。神宮寺先生と独歩さんですよね」
    「どっぽ……?」
     大切な人はソイツなんだと直感した。チームメイトって事はかなり近しい間柄の筈なのに、全く思い出せない。それなのに、この三文字には呼び慣れているかのような口馴染みがある。どっぽ、どっぽ。うん、なんだかしっくりくる。
    「……それで?」
    「独歩に会うためにはどうしたらいいんだ〜⁉︎ って、シンジュク中を走り回っちった‼︎ 成果も出せねーまま疲れ果てて帰って来たんだけどさぁ、お前が独歩だよな? まさか一緒に住んでるなんて予想外すぎっしょ〜。 大切な人と一緒に住んでるなんて、記憶忘れる前の俺っちやるぅ〜! 幸せは自宅にいましたーって、まるで幸せの青い鳥みてぇだわ」
     

    【答】
     今日は早く帰ってくるって言っていたのに、一二三は一向に帰って来なかった。トラブルに巻き込まれているのでは……と思い始めた頃、珍しくくたびれた様子の一二三がしょんぼりした様子で玄関の扉を開けたんだ。廊下で仁王立ちしながら「遅かったじゃないか」と言った俺を見てたいそう驚いていた。そこで、何かがおかしいことに気づく。リビングに上がってもらってことの顛末を聞いたが、要約すると「違法マイクで俺の事を忘れてしまった」という事らしい。
     ちなみに、俺がガラケーだから連絡はメールでしている。LINEに俺の形跡がないのはそのせいだ。
    「俺の名前は観音坂独歩。現状、お前と同居している」
     自己紹介を兼ねて名乗ると、一二三は嬉しそうに笑った。
    「大当たり〜‼︎ 大切な人発見‼︎ 俺っちは彼女作んないで友情を大切にしてたんだな〜」
     俺は一人で自己完結している一二三の胸ぐらを掴んだ。驚きを浮かべている綺麗な顔を引き寄せて唇にキスをする。
    「外れだ。残念ながら、お前は彼女じゃなくて彼氏を作っていた。……ちなみに、幼馴染で親友でチームメイトで同居人で恋人の特盛りセットだぞ」
     しばし呆けた顔をしていた一二三が急にフリーズしたかと思ったら、綺麗な顔を歪めて悔しがるような声を出した。
    「独歩ちんごめんご〜‼︎ よりによって今日忘れちまうなんてな〜‼︎ 今日は二人であっつい夜♡を過そうと思ってたのにぃ〜‼︎」
     口ぶりから俺の事を思い出したのだろうと推測する。キスがトリガーだったのだろうか。白雪姫だっけか? なんともロマンチックなこった。
     一二三はいつも通りのスキンシップ過剰状態になった。耳元で喚きながら、俺の体をぎゅうきゅうと抱きしめてくる。
     どうやら欲張りな俺は、こいつとの間に積み重なった関係を一つも失いたくないらしい。話を聞き始めてからずっと緊張していたし、心が苦しくて仕方なかった。
    「……もう夜更けだ。俺は寝るぞ」
     ほっとしたら急激に眠気が襲って来た。うつらうつらとしながら立ち上がれば、一二三は情けない声で「添い寝だけでもしたいんだけどぉ〜‼︎ 一緒に寝よ〜‼︎」と縋ってくるから、俺は思わず笑ってしまった。長年一緒に住んでいると、思考回路が似通ってくるらしい。
    「しょうがねぇな、一二三は」
     あくまで一二三の我儘を聞いているテイを成し、二人で寝室に向かった。
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