眼差し 三井を見つめる水戸の目は驚くほど優しく、それでいてあどけなかった。まるで宝物を一心に眺める子供のようだ。
水戸と初めて会った頃、なんて冷めた目つきをしている新人なんだろうと思った。警察学校を卒業してからの配属なんて一番やる気に満ちているときのはずなのに。
笠田はペア長として過干渉にならないように指導をしていって、水戸との信頼関係を築いた。ときどき水戸の目に熱が宿るのを確認できたときは嬉しかった。
だから今の水戸の、あたたかい眼差しを見るとやはり笠田は嬉しくなってしまうのだ。
「ちょっといい雰囲気のところ悪いけど聴取に協力してくれる?」
ずっと二人を眺めていたいけど、そうもいかない。笠田はペアの芝谷に目配せをして水戸たちに話しかける。笠田が水戸、芝谷が三井を担当することになった。
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