A.貴方が語る物語は全てハッピーエンドだ。
バットエンドなんて貴方の頭には存在しないみたいに、人に1粒の雫さえ零させない為に、貴方は語っている。
それが数百年紡がれた貴方のエゴであると言うことは、共に居てから少しばかり経った頃だった。

「貴方のハッピーエンドは、自分で下した縛りなんじゃないんですか。」

口にしたら、彼女は、普さんはどう反応するだろうか。
またのらりくらりと躱していく？それとも図星を突かれた様な珍しい表情をこの目で記録する事が出来るのだろうか。
何にしろ、本に書かれた知識のみで構成されたこの頭では彼女の酷く難解な心を解読する事なんて不可能に近いだろう。それは私自身がよく知っている事だ。
「なァ紗理谷クン、君に1つ問うても良いかな？」
貴方の1つの質問に、私がどれだけの頭を使っているか知る由もないでしょう。そういうひとだ、彼女は。
少なくとも、貴方のハッピーエンドは私受けでは無いと言う事は断言出来ます。

ねぇ普さん、私って意外と意地が悪いんですよ。
貴方のそのエゴでさえ、私は探求心を下げることは無く、寧ろ右肩上がりなんです。
貴方に幾ら時間が残されているのか、私の所にいつ戻ってこないのかなんて知りはしない。

ただ、貴方の心を探求していきたい。その色で埋め尽くされているんですよ。その半ば強引的なハッピーエンドだって、解剖していける様になりたい。
個人単位で執着出来る。その位私の感情は強く揺さぶられているから。