営業ランディ×経理兼夜職テシカガ何故、こうも世の中は理不尽なのであろうか。大卒かそうでないか、それだけで基本給とやらはだいたい月二万くらいは差が出てしまう。ボーナス、昇給の有無も考えれば、その差は年々より大きくなっていく
「やっぱり足りねぇ…」
高校卒業を機に、北海道から上京してきた社会人三年目のテシカガ=キリヒトは、通帳の残高を見て眉を寄せていた。
テシカガの家は、経済的理由から大学進学までは難しいと言うことで、高校を出たら働くように言われた。その代わり上京は許してもらった。本当は大学に行って、文学や歴史を深く学びたかったが、金がなかった、こればかりはどうしようもなかった。
しかし、世の中は学歴社会になりつつあり、大都市東京と言えど高卒で働き口はなかなか決まらなかった。気になった企業は、大卒でないと履歴書すら送れない。スタートラインにすら立たせてもらえないのである。無理を言って上京した手前、生活が苦しい、仕事がなかなか決まらない、とは親には言えず、うまくやってるよ、と電話口で嘯いた。ようやく決まった仕事は、そこそこ有名な企業の経理の契約社員だった。
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