場地と千冬が武道に尻を叩かれるだけの話学校が終わって帰宅しようと歩いていたときだった。
「たけみち!!」
聞き覚えのある迫力ある声に恐る恐ると後ろを振り返る。
今日は集会もなく、アッくん達と遊ぶ予定も無いから久しぶりに寄り道せずに帰宅しようと思っていた俺にとっては最悪とも言えた。
(いったい何の用だろう?)
何かしただろうかと武道が聞くよりも早く、手を握られた。
「え」
「行くぞ」
呆然としている間に俺に理由も告げずに引きずって行かれる。
着いた場所は寂れた団地だった。
子供達が母親に見守られながら公園で砂場遊びしていたり、ブランコに乗ったりして笑顔いっぱいで遊んでいる。
場地くんは俺の手を掴んだまま、公園を通り過ぎてその先にある団地の階段をゆっくりと上がっていく。
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