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    Marion20180210

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    Marion20180210

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    前回注意書きするの忘れてたので今更なんですけどヤスの結婚式注意です。
    特に詳細で出来ませんがモブとです。
    花➝晴要素も1ミリ有り。
    そしてよく考えたら次はR18でした。
    こういう場合ってシリーズ全体にR18付けた方がいいの?
    とはいえR18書くの初めてだし無事R18になるのか微妙なんですけど、なるはず。

    #リョ三
    lyoto-3

    10年付き合って結婚するまでのリョ三 その②後編 式場ロビーに入り中を見渡すと、開始時間が迫っているせいか中にあるベンチはどうやらどこも埋まっているようで、仕方なく玄関前に設置されていたベンチに三井を座らせる。
    「ま、ここでいっか、もうすぐ始まるだろうし。寒くない?」
     と、俯く三井を覗き込むと、おー、と一言だけ曖昧な声が返ってくる。宮城は出欠確認のために受付まで二人分の祝儀袋を提出してから戻ってくると、三井の隣には座らず、三井の膝の間に片膝をつき、車内で寝たせいで少し乱れてしまった髪を下から直してやる。
    「二人とも!久し振りだな!」
     ふと聞こえてきた懐かしい声に宮城が顔を上げると、高校時代のバスケ部のメンバー達を引き連れた木暮が二人に向かって手を挙げていた。
    「お久し振りっす」
     だらんと投げ出された三井の右手を軽く握って立ち上がる。
    「三井の調子はどうだ?」
    「ご覧の通りっすね~」
     唯一宮城から三井の状態を聞いていた木暮が、座り込む三井の肩に手を置き、慣れた様子で首筋を撫でる。
    「うん、結構熱いな、スーツ越しでも感じるぞ」
     他のメンバーも木暮から事情を聞いているようで、各々色んな表情で、黙って項垂れたままの三井を見つめていた。
    「それにしても、やっぱ背高いと皆スーツ似合うっすね」
     三井を心配する空気が流れたメンバーを見渡しながら宮城が言う。
    「リョーちんだってかっこいいぜ!そのスーツどこで買ったんだ?」
     そう言う1年後輩の桜木花道は、アメリカでのパーティーの際にチームメイトと面白がってフルオーダーしたという赤のタキシードを身にまとっている。以前それを着た花道にパーティーで対面した際、それはお前しか似合わねーよ、と笑った憶えがある。
    「俺のもフルオーダー。俺の身長ならいけるかと思ったんだけど既製品じゃ無理で。肩幅と胸板が全然背と合わねーんだよ、あと腕周り」
     ふわ、と三井の体が前に揺れる。あぶね、と咄嗟に握ったままの右手を引く。車を降りてからここまでの足取りはしっかりしていたが、座ると座るで気が抜けてしまうらしく、居眠りしているかのようにフラフラと微かに頭が揺れている。先程宮城が髪を触っている間一切顔を上げなかったので、今朝の目眩がまだ続いているのかもしれない。
     ド派手なタキシードの桜木と話す宮城も、三井からお前以外誰が似合うんだよそんなん、と笑われた濃いカラシ色のスーツを着ている。桜木が赤いタキシードを持っていることを知っていた安田からの頼みで、プロプレイヤーとして海外で活躍するメンバーはダークスーツではない。桜木の後ろには、鮮やかな藍色のスーツの流川楓が立っている。
    「なんかお前達、信号みたいだな」
     はは、と爽やかに笑う木暮に、うわ確かに……と宮城は自分のカラー選択にミスを感じた。

     間もなく教会での挙式が始まり、元湘北高校バスケ部のメンバー達は、背が高いこともあり他の参列客に気を遣い最後列に座った。数回起立を求められるシーンがあったが、最後列の1番端へ座らせた三井に、なるべく座っておけ、と宮城は耳打ちした。当時のノリは相変わらずだが、場を弁えて姿勢を正す後輩達に、当たり前だが感心してしまい、そんな自分に笑ってしまう。入場してきた安田が宮城の視線に気付き、パチッとウインクをした時には吹き出しそうになった。
     披露宴では、解熱剤が効いてきたのとしばらく座っていたのとで少し調子を取り戻した三井であったが、バスケ部時代の恩師安西先生にも事情を話し、席次を変えてもらった。大まかに学年や性別で分けられており、三井と同輩の赤木剛憲、木暮、マネージャーであった彩子、赤木の妹晴子、安西先生、そして三井が同じテーブルにつく予定であった。安西先生と話がしたかったらしい三井はブツブツ文句を言っていたが、宮城が安西先生と入れ替わる形で席次を変更した。
    「リョーちん彩子さんと一緒がいいだけだろ!ずりぃぞ!」
     と、高校時代から晴子に思いを寄せる桜木が喚いていたので、そりゃそうだろお前らの面倒見たくねーし!と返してやった。
     披露宴が始まる前に、スタッフが各テーブルを周り飲み物のオーダーを聞いている。宮城達のテーブルにもにこやかな女性スタッフが一人一人オーダーを取っていく。
    「あ、俺白ワインで」
     いつもの癖でアルコールを頼む三井に、すかさず横から宮城が話しかける。
    「いや、あんたはダメっしょ」
    「何でだよ1杯くらい大丈夫だろ」
    「さっき薬飲んでるだろ、薬と酒はダメ」
     自分自身に対して大雑把な部分がある三井は、割と判断を誤ることがままある。自分を俯瞰で見るのが苦手というか。それに関しては元々宮城が得意なので、ついあれこれと口を出してしまう。三井の代わりにオレンジジュースを頼んでやり、文句はあるものの宮城の言うことを正しいと感じている三井が少し唇を尖らせるのを横目で見た。
     何とも洒落たフルコースが用意されており、同じテーブルにいた彩子と晴子は大盛り上がりで写真を撮ったり感想を言い合ったりと大忙しである。対して宮城は確かに美味いがひと皿ひと皿の盛り付けられている量の少なさに、これじゃ腹いっぱいなんねーな、などと思いながら三井の様子を伺う。自分達のような成人男性、ましてやスポーツを仕事にする人間達にとってはこんな量一口のはずだが、やはり食欲がないのかなかなか皿の上が空かない。三井もプライドがあるのはわかっているのでギリギリまで声はかけないが、自分達から1番遠いテーブルに次の料理が運ばれてきたのを確認すると、行儀が悪いとは思いつつもその度に宮城が横から手を伸ばし皿を空けてやった。
     滞りなく宴は進んでいき、それなりに楽しそうに笑う三井を見てホッとしつつも、終盤での友人代表スピーチを頼まれている宮城は緊張した時の昔からの癖で、静かにトイレへ逃げる。
     ホールを出る際にあとどれ位で自分の出番が来るかとスタッフに確認したため、もうそろそろ自分の出番だな、とため息をつく。手を洗うために前屈みになると、スーツの肩が以前より窮屈な気がする。図体ばっかり立派になったけど、俺も中身は変わんねーな、と1人で笑い、ホールに戻る。思ったよりゆっくりしてしまっていたのかちょうど宮城の出番であり、席に着くことなくそのままスピーチへ入る形となってしまった。
     アルコールが入っていることもあり、先程の挙式とは打って変わって喧しく野次を飛ばす後輩をチラチラと睨みながら無事スピーチを終えて席に戻ると、スピーチ中は顔を上げてこちらを見てくれていた三井が俯いてふーっ、と長く息を吐いている。なんと声をかけようかと静かに見つめていると、ふと顔が上がる。目が合うと、なんだよ、と軽く笑い姿勢を直した。
     無事に披露宴も終わり、さて二次会へ、と仲間達が話しているところに、宮城は申し訳なさそうに頭を掻きながら近づく。
    「すんません、寿さんあんな感じなんで、俺ら帰ります」
     言いながら親指を立てて後ろを指す。さすがにもう立っていられない三井が、外だということも気にせず式場玄関前の階段に座り込んでいる。
    「おー、そうだな。もう限界か」
    「そっすね、さすがに薬切れてきてると思うし」
     片方立てた膝に額を乗せて俯いているために表情は分からないが、披露宴中の様子とは比べ物にならないほど背を丸めて項垂れる様子は見ていて可哀想だ。
    「車まで運ぶの手伝おうか?」
     宮城と三井の身長差を思った木暮が、なぁ?と赤木を振り返る。そうだな、と頷く赤木だったが、大丈夫っす、とその申し出を断わる。
    「おぶっていくんで、背中に乗せるのだけ手伝ってもらっていいすか」
     脱力していて顔を上げない三井を、木暮と赤木が目の前に背を向けてしゃがむ宮城の背に乗せる。ぐ、と左足を踏み込んで立ち上がるが、長い足が思ったより地面に届きそうで、もう少し力を入れて足を抱え上げる。
    「リョーちんすげーな!」
     身長の割に体重は軽い方の三井を、高校時代の宮城では抱えられず、部活中に倒れ込む三井をずるずる引きずっていたことを思い出しながら花道が声を上げる。
    「まーな、今ならこんくらい余裕だわ」

     何とかして助手席に三井を乗せ、自分のジャケットを後部座席に放り込んでから運転席へ廻ると、既に助手席からはすーっと寝息が聞こえていた。そりゃ疲れるよな、お疲れさん、と独り言を言いながら、汗に濡れて降りかけている前髪を掻き上げてやる。挙式中は1番後ろの席で他の参列者に隠れていたが、披露宴は高砂から全体が見渡せるので、宮城は頻繁に安田からのアイコンタクトをもらっていた。恐らくそれがあるために、安田に気を遣わせないよう気を張っていたのだろう。基本的に大雑把な性格ではあるが、対人に関しては繊細な気遣いをそうと悟られずにやってのけるところが、この人の好きなところなんだよな、と宮城は心配ながらも嬉しいような気持ちになる。
     帰路の途中で咳をし始めた三井の胸元を、赤信号で停車する度に手を伸ばして子供にするようにトントンと叩いてやったが、1度出始めた咳はなかなか止まらないようで苦しそうにしている。
     三井の自宅まで到着すると、酷く怠そうな三井には悪いが自力で宮城の背に乗ってもらい、部屋まで運ぶ。もうどの道動けないだろうとスーツのまま直接ベッドの上に下ろす。ベッドに寝転んだままの三井のスーツを1つずつ脱がせ、部屋着まで着せたところでまとめてハンガーにかける。朝水筒に入れて持って行っていたスポーツドリンクがまだ残っていたので、それと共に風邪薬を飲むように伝えて宮城自身も着替えを始める。咳が邪魔してなかなか飲めないでいたが、大袈裟に深呼吸をした気配がした後、どうやら無事飲めたようで、起こしていた体をベッドに投げ出す音がした。
     ベッドの端に丸められていたブランケットを広げて三井にかけてやり、肩で呼吸をする三井に小さめの声で話しかける。
    「明日、朝まだ熱下がってなかったら病院行こう。とりあえず今からたくさん寝て」
     そう言うとまた立ち上がってあれこれとベッド周りを整える。いつ寒くなってもいいように、と薄手の毛布を出してきたり、先程飲んだ水筒の中身を補充したり。見えているのか見えていないのかわからないほどにうっすらと目を開けて宮城を目で追う三井は指1本動かせずぐったりしているが、咳をする度に大袈裟に体が揺れる。その姿を可哀想に思う宮城が、再びベッドの縁に腰かけ、手を伸ばして首の後ろに氷嚢を当ててやる。
    「氷枕にする? あったよね?」
    「あのよ……」
     もしかして返事は返ってこないかもしれない、と思いながら話しかけた宮城は返答が返ってきたことに驚きつつも、三井の顔の近くに耳を寄せる。
    「お前と何かひとつ進もうとすると、いつもこうだよなぁ……俺」
     とてもとても小さな声だった。言葉の終わりに声が震えた気がして顔を上げる。
    「ごめん」
     顔を離したからか、単に三井の声が小さかったからか、ほとんど唇の動きだけで伝えられた3文字。それ、何に対するごめんなの。三井が目を閉じた拍子に目尻からスッと涙が滑り落ちる。熱が高そうなので生理的な涙かもしれない。そういえば帰宅してから熱を計っていなかった。
     喘鳴の間に呟いたその言葉に、はいはいもう寝なよ、と言いながら、空いている左手で胸をトントンと叩く。胸が痛い、と咳をしながら言う三井の額にキスをしようと顔を寄せると、キスされる気配を感じた三井がふい、と顔を背ける。
    「お前明後日飛行機だろ、移ったらどうすんだ」
     これだけずっと一緒にいたら、今更キスの1つで左右はされないと思うけど、と思い笑う。
    「そーだよ、俺明後日帰っちゃうんだよ。だから早く治してね、心配で帰れなくなっちゃうから」
     後頭部に口付けて、そのまますーっと汗の匂いを吸い、反対を向いてしまった三井の首元に氷嚢を当て直す。こういう時に隣で眠るのを気にする三井のために、そのまま静かに寝室を出ようとする宮城の後ろから、換気しろ……と掠れた声が聞こえる。はいはい、と返事をして扉を閉める。もしも名前を呼ばれたらいつでも気が付けるように、少しだけ隙間を開けて。

     今回帰国していた6日間、宮城と三井は結局1日しか同じベッドで眠れなかった。しかもその1回すらお互いに背を向けて。今の様子では明日三井の調子が戻っているとも思えないので、明日も自分がソファーか、三井に反対されれば実家に帰るか。
     小さな喧嘩はしょっちゅうするし、今回より帰国の期間が短いことだって過去にはあった。しかし、これほどまでに心が通わないことは1度もなかったはずだ。冷蔵庫にあったビールを勝手に取り出し、ドサッとソファーに腰かける。はぁー、と長い溜息をついて、思いの外プロポーズもどきを断られたことにショックを受けている自分に驚く。二つ返事で受け入れてもらえるとは思ってはいなかったため、だからこそあんな格好のつかないプロポーズになってしまったのだ。それについては宮城自身格好悪い、と思いつつも、そんな恥など考えている場合ではないと判断してのことなので別にどうでもよかった。問題は、三井の態度がナシ寄りのナシだったこと。

     帰宅してからの様子を木暮に連絡し、明日も休まないといけないと思う、と書き添える。大人になった割に、そしてアスリートの割には頻繁に熱を出す三井だが、先程の三井からの言葉を受けて、こんなに酷く体調を崩したのはあの時以来だなぁ、と宮城は思い出す。
     離れて暮らす自分が知っている限りは、のことではあるが。そんなことにもまた、今の宮城はため息をつくばかりであった。
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    Replies from the creator

    Marion20180210

    REHABILI10年付き合って結婚するまでのリョ三その①
    なんでも許してくれる人のみ読んでください
    なかなか結婚しないし暗い
    三がずーっとよわよわ
    久々の創作で色んなことが心配 とりあえず誤字脱字はそのうち確認します
    パートナーシップ制度のこととかバスケ界のこととかは全然ガバガバななのでふわ〜と見てほしいし出てくるモノも時代と合ってなくてもふわ〜としてください
    続いたらいいな
    10年付き合って結婚するまでのリョ三その①「リョーちゃーん!」

     入国ゲートを出た途端フロアに響き渡った声に、思わずプッと吹き出すと、宮城リョータは久しぶりに顔を見る妹アンナに向かってスーツケースを引いていない方の左手を軽く上げた。
     その隣には母親のカオルが立っている。コーヒーのカップ片手にこちらへ笑いかける姿に、随分慣れたもんだなぁ、となんだか嬉しく思う。
     駆け寄るアンナが、スーツケースの大きさに今回も新鮮に驚き、宮城の手から持っていく。重い!と体全体を使って転がしていく様を見ながら後ろを着いていくと、おかえりリョーちゃん、とカオルから肩を撫でられる。
    「うん、ただいま。昼飯食った?」
    「まだだよ、今回も寿くん外で待ってるから」
     あぁ、そうだった。空港内には決して迎えには来ないが、空港まで母と妹を自らが運転する車に乗せ、必ず迎えに来てくれる恋人。
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