気になるあの子と、あの子の彼女。キャラ設定
*坂井:大学1年生。百合をこよなく愛する
*瞳子:大学2年生。坂井のバイト先の先輩
*黒江:大学2年生。瞳子の同居人
「あっ!」
21時、疎らになり始めた客を眺めてグラスを磨いていた瞳子は、突然聞こえたその大きな声に思わず肩をすくめた。
声の主は坂井─同じホールスタッフとしてバイトをする仲間だった。
「どうしたの?何かミスっちゃった?」
「いや……今日、終バスの時間いつもと違ったの思い出して……」
彼は少し青ざめた顔で時計を眺めていた。“大学から近いから”という理由でここをバイト先に選んだ彼は、電車で1時間半はかかる場所に住んでいるため、終バスを逃すことはこの辺りでどうにか夜を明かさなければいけないことを意味していた。しかもこの近辺はいわゆる住宅街で、漫喫やネカフェなどは存在しないも同然だった。
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