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    pugi_momo

    @chii60339086

    修練文章/創作メモ/ハンクラ画像などごった煮
    支部には上げたり上げなかったり
    ⚠タル蛍ONLY

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    pugi_momo

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    異種族パロディータル蛍(雰囲気だけの短文)
    タルタリヤに飼育されている人魚蛍ちゃんのお話
    ⚠R-15、本名呼び注意


    タイトル:MARRY

    #タル蛍
    chilumi
    #R-15
    #支部未掲載

    溺愛の水槽 「ほーたる、ただいま。いい子にしてたかい?」

     薄暗い空間にこぽこぽと泡音が響く。
     クラシックな造りの広々とした室内で、黒光りする重厚な調度品や壁に飾られた華美な絵画がぼんやりと浮かび上がるかのように青く染まっている。
     靴音を立てながらゆったりと歩く男の爪先は、迷うこと無く最奥へと向かう。霓裳花と翡翠で装飾された衝立、その内側へと身体を滑り込ませた。

     ちゃぷりと水音がして、男の青宝玉サファイアの瞳に煌めく白金が映る。
     まるで月を溶かしたような金髪に、星が閉じ込められた大きな瞳、色素の薄い肌は真珠の様相を呈し。形容し難い程に美しい少女が男の眼前へと現れる。
     少女は男の存在に気が付くと、すい、と傍へ近寄ってくる。初々しい肌を晒す一糸纏わぬ身体を優美に動かし、ガラス越しに目を合わせた。

     「随分と遅くなってしまってごめんね。お腹が空いただろう? 食事にしようか」

     こくりと小さく頷く少女に、愛おしさから目尻を緩めた男は強請るように言葉を続ける。

     「……ねえ、君からのおかえりが聞きたいな」
     
     少女は眉を顰め面倒そうな表情をするが、端正な笑みを崩さず引くつもりの無い男の様子に渋々と小さな口を開いた。

     『おかえりなさい、アヤックス』
     「うん。早く会いたかったよ、蛍」

     蛍の珊瑚色の唇から言葉と共にこぽりと気泡が零れ上昇していく。
     それを頬を染めながら満足そうに見るアヤックスの視界の端で、白金の鱗に覆われた下半身と透けるようなヒレがゆらゆらと揺れた。



     桁違いに希少価値が高い大物が出品される。
     そんな情報を入手し、オークション会場へと赴いたのはもう数週間も前のことだ。
     物欲は男の欲望の対象からいくぶん距離を置いたところに位置している。
     全く以って興味は無いが、雇われている組織が求めている品の可能性がある以上、これも仕事の一環だと、アヤックスは進まぬ気持ちを切り替える。

     会場は異様な雰囲気に包まれていた。悍ましい実験の過程で生まれた化け物、対象者を永続的に隷属させる違法な薬物、珍しい瞳を持つ人間の子供。人身売買が当たり前の決して表沙汰には出来ない闇のオークション。自らの稼業もあまり言えたものでは無いが、出品物やそれに熱狂し下卑た声を上げる人々に吐き気を催す。
     案の定、大して興味を唆られるような物も無く、確認を終えたらさっさとここを離れようと心に決めひとつ溜息をついたその時。
     「―――さあさあ! 皆様お待ちかね、本日のメイン商品の登場です!!」
     司会の男がいっとう声を張り上げ、会場の熱気が更に膨れ上がる。そして舞台袖から布に覆われた大きな箱が運ばれてきた。
     やっときたか、とアヤックスは胡乱げな目を向ける。
     「生涯で一目見ることも叶わないと謂われる大変希少な異種族の少女、その眩いばかりの美しさはこの世のものとは思えないほど! 是非じっくりとご高覧ください!!」
     白い布が取り払われ精巧な造りの硝子の水槽が現れた。

     ―――それを見た瞬間、男の時が止まり周囲が透明になる。
     今まで抱いていた漠然とした渇望が、パズルのピースがぱちりと嵌まるような感覚に、知らず知らずの内に身体が震える。
     アヤックスを取り巻く全てが、この時から光輝き色付き始めた。
     



     アヤックスは鼻歌交じりに、特注の硝子水槽の端に設置された階段を登る。最上部から水中を見下ろすと、鱗を燦めかせながら蛍が男の元へと顔を出した。

     「ほら、蛍。腕を伸ばして」
     「ん、」
     「良い子だ」

     白い腕がするりとアヤックスの首へと回る。揺らめく水面から少女を抱え上げると、纏っていた水がなだらかな身体のラインに沿ってベールのように滑り落ちる。
     
     「服が濡れちゃう」
     「あははっ、心配してくれてるの? どうせすぐに脱ぐから問題無いよ」
     「……心配なんてしてない。それに脱ぐってなに、先にご飯が良いんだけど」
     「えー……本当にそうかなあ?」

     不満げに唇を尖らせる頬に口づけを落とす。両腕にすっぽりと納まる華奢な身体を抱き上げたまま黒い革張りのソファーに腰を沈ませ、懐から小さな飾り瓶を取り出すと、蛍はぴくりと肩を震わせた。

     「これいや、好きじゃない」
     「必要なことなんだから、我儘言っちゃ駄目だよ」
     「あなたと家族になるために?」
     「そ。家族になるために。ね、だから頑張って」
     「んうっ」

     繊細な硝子瓶の蓋を開け中身を一気に呷る。そのまま蛍に顔を近付け自らの口を合わせ、僅かな唇の隙間に舌を侵入させてとろりとした液体を口腔内へ流し込む。
     いやいやと首を振る頭を、後ろに回した手でぐっと引き寄せより深く唇を重ねると、蛍は観念したのかこくりと小さく喉を鳴らして甘い液体を飲み込んだ。


     「……ッあ……!!」

     白金の鱗が僅かな光を帯び始めぶわりと立ち上がる。苦悶の声を上げ小さく身を震わす少女の金糸を優しく撫で梳き、寄せられた身体をしっかりと抱き締める。
     涙の浮かぶ目元に口づけながらゆっくりと背を撫でてやっていると、逆立った鱗が徐々に沈みこんでゆき、内側から迸るような白さのすらりとした流麗な曲線の脚が露となった。

     「ふっ……ふぅ……っ」
     「頑張れてえらかったね、蛍」

     アヤックスはまるで小さな子供を褒めるように。切なげな弱い呼吸を繰り返す蛍の頭を慈しむかのようにゆっくりと撫でる。
     少しすると落ち着いたのか、少女の身体の強張りが解けて口から弛緩した息が洩れた。そのまま金色の旋毛を目を細めながら眺めていると、涙で潤み目元が紅く染まった瞳が男を見上げる。
     
     「ちゃんと頑張ったから、ご褒美ちょうだい」
     「ふふ、もちろん良いよ」

     アヤックスは口元を綻ばせながら、「もっと顔を上げて」と耳元で甘やかに囁く。
     待ち切れずに突き出された蛍の淡く色付く唇に啄むような口づけを繰り返し、そのまま舌を差し込んでお互いを食べ合うように唇を動かす。
     びくりと震える肩をきつく抱き寄せ、唾液の海で縦横無尽に舌を泳がせる。口の端から溢れたそれは、少女の首筋を伝いふくよかな谷間へと艶かしく垂れ落ちてゆく。
     はッと熱の籠もった息を吐きながら唇を離す。蛍は蕩ける瞳と紅潮する頬をそのままに、もどかしげに太腿を擦る。

     「ご飯が先じゃなくてもいいの?」
     「わかってる癖にいじわるしないで」
     「ふははっ、ごめんよ。じゃあしようか」 
     「……早くアヤックスと家族になれば、お兄ちゃんを探しに行ける?」
     「うん、そうだよ。だから蛍は安心して全部俺に任せてくれれば良い」

     紅く色付いた目尻に手を添わせると、少女は甘えるように頬をすり寄せる。 

     「うん。……ちゃんと好きだよ、アヤックス」
     「俺も愛してるよ、蛍」

     
     





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    【お薬の補足メモ】

    人魚の繁殖は卵生。「家族」として兄妹の概念はあるが夫婦のそれは無い。
    蛍が飲まされている薬は、異種間交配をする為の特別なもので催淫効果もある(とんでもなく高価)。
    ヒトとの間に子を成すと、もう二度と人魚の姿へ戻ることが出来ず、海へ帰ることも叶わない。
    勿論蛍はそれを知らされていない。
    (でもアヤックスは約束を守る男だから空のこともちゃんと探してくれますℋ𝒶𝓅𝓅𝓎 ℰ𝓃𝒹...)
     
     


     
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