やきもち最近ウィットは何かにつけて俺のハックに話しかけている。
現に今も…
「なぁハック!見てくれたか俺の華麗なキル!」
「ハックー、あのグレネードは危なかったよな。でも、大丈夫無事だ!なんたって俺様はあのミラージュだからな。な、お前もそう思うだろ?」
「ハックー、お前はかわいいな。ご主人様と違って」
この調子である。
「おい、ウィット」
「やべっ、お前の主人は説教が長いんだよ〜」
助けてくれハック〜と言いながら、ハックで顔を隠そうとするウィットにげんこつひとつ。
ついでにハックも返してもらう。
「いってー!何すんだよおっさん!」
「お前はさっきからハックハックとなんなんだ。ハックはドローンだ。お前のお友達じゃないんだぞ」
「ハックが友達じゃない?お前本気で言ってんのか?ハックは友達だろ。それにお前の相棒!」
何だか頭が痛くなってきた。
「あのなー、お前いくら友達がいないからってハックを友達にカウントするな。まぁ、俺の分身みたいなところではあるが」
「ほらな!お前の分身ってことはもう1人のクリプトみたいなもんだろ!だから友達…っやっぱ今のなし!」
なるほど、そういうことか。
自分の口角が意地悪に上がるのを自覚する。
「つまり、俺の分身みたいなものだから尻尾振って話しかけてたわけだな」
「尻尾振ってってなんだよ!俺は犬じゃねぇぞ!」
まだキャンキャン吠えているウィットを抱きしめる。
すると途端に大人しくなるもんだからやっぱり此奴は犬なのかもしれない。
「ふはっ」
「笑うなよ」
「悪い悪い、あまりにもお前がかわいいからな」
赤い顔でキッと睨まれたって痛くもかゆくもない。
ついでにハックに向けて湧いていたもやもやも消し飛んだことはウィットに秘密だ。
ハックにやきもちを妬くなんて俺も相当
「重症だな」
きょとんとしているウィットの額にキスをひとつ。
「寂しいなら俺に話しかけろ。ばかウィット」
「ばかは余計だ…でも仕方がないからそうしてやるよ。ハックにやきもち妬いてたおっさん」
「っな!お前」
図星の俺は口をぱくぱくとすることしかできなくて、腕の中のウィットはしてやったりと笑っている。
「やれやれ、降参だ」
ウィットの肩に頭を埋める。
「へへっクリプちゃんが降参だなんて明日は雨、槍だな!」
ウィットが俺の頭を撫でる。
その手が心地よい。
「でもなー、俺はハックのこと本気で友達だと思ってるからな。ハックがいなきゃ俺たち何度もやられたシーンなんて何度もあっただろ?それにさっきも言ったがお前にとっちゃ相棒だろ?だからやっぱりハックは俺の大事な友達でもあるんだよ」
こういうところ、俺はウィットのこういうところが好きになったんだ。
例えマーヴィンであってもハックであってもこいつは等しく愛情を注ぐ。
その優しさに触れた奴はみんなこいつを好きになる。
だからレジェンドからの信頼も厚いのだ。
「ウィット」
「なんだよ。もう文句は聞かねぇぞ」
「好きだ」
「っ、んだよ急に」
「お前は知らなくていい。そのままのお前が好きだ」
そう耳元で囁けば真っ赤になった耳をそのままにぎゅっと抱きついてくる力が強まった。
そして小さな声で
「俺もそのまんまのお前が好きだよ。ばか」
あんまりにもかわいいから目の前の美味しそうな唇にかぶりついた。