ヤシロのコン・山のポンコン コン カコン
日差しが切れ切れに注ぐなか、調子よく軽い音が響く。
歌うように響くこれは木材がナタで割られている音だ。
コン コン と、長閑に
まだまだ続くと思われたのだが…なにか別の音が混じり調子は止んでしまった。
「たんちゃ〜ん炭ちゃん大変だよ」
馴染みのしわがれ声が響く。
声の方を向くと、イタチの婆様がシュルリシュルリと樹々の間を器用に抜けて、大慌てで駆けてくる来るのが見えた。
「どうしたんだ?イタチの婆様。また干物でも盗られたか?」
この婆様は薬に詳しくて、よく世話になっている。こうして騒ぐ時は、大概干していたヤモリや草を盗まれた時だ。
婆様は疲れ切ってペしゃりと伏せると、ほぅほぅと息を切れ切れにこう言った。
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