ふる〜てぃ〜ず“さつま”--憧れていた。
国の守護、繁栄……それをあんなに可愛らしく美しい少女たちがやっているのだから当たり前である。憧れる少女のひとり……赤みがかった紫髪に外ハネのショートヘアが愛らしく、ロードライトガーネットの如く光る瞳をもつ紅さつま。王立オルス学園初頭学校の5年生。明るく前向きで、子供らしい笑顔を見せる。
一人っ子のせいか、マイペースで自由奔放なところがあるが、ふる〜てぃ〜ずへの憧れは人一倍だ。
「あ、さつま。御機嫌ようなのだわ。」
「……ん、おはよ〜。」
「うりりん、おなす、おはよー!」
「うりりん言うなっ!そんなあだ名はレディらしくないのだわ。」
「今日は2人とも早いんだね?」
「そそそそ、そうね!?べつに、何をしてたってわけでもないのだわ!?ね、おなす!ね!ね!?」
「……そうだねぇ〜、うりちゃんがおねしょするから、おなすがどうしたらお布団が濡れないか教えてたんだよ〜。今日の夜から、おむつだねぇ〜。」
「そうそう!その話を……おなす!?」
「そうなんだぁ〜?」
「うっ……そ、そういうことにしておいてあげるのだわ……。」
2人で何をしていたかは分からないけど、多分大丈夫だ。ふる〜てぃ〜ずを続けるに当たっての支障はないだろうとさつまは思った。
問題は……
「みなのものー!おはようなのだー!」
「……あずき、朝からうるさい。」
桃空双子。
「おはよ!ギリギリセーフだねぇ、何してたの?」
「いい子だからママのお手伝いしてたんだよ。ゴミ出し。」
「……あずきと同じ。」
「ふーん、そっかぁ。」
ちなみに今日はゴミ出しの日ではない。なにか引っかかる。なんで嘘をつくのか。実技や魔力には問題もないし、なんなら双子でなにか共鳴するものがあるのか問題が無さすぎるほど支え合っている。
でも。
--自分と目指しているところは違う。
「じゃ、ぶちょー!始めよ〜!」
「うむ!私たちの目標は【1人前のスクールアイドル戦士になること、そしてでぃっぷの後継者となりエメラルドの元に尽くすこと】!」
「あと、忠誠心がないと、ダメだよ?でぃっぷよりも、もっと強くならなきゃ行けないんだからね。」
「……そ、そうだね!頑張っていこー!」
いつもより少し低めの、さつまらしくない声が通り抜ける。
--国への忠誠心。1番大切。
さつまは約束してるのだ。
「あなたにならできるわ。なんたってわたくしの“妹”なのですから。」
「うん、私、頑張って追いつくね!」
「きゃろさん!」