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    えくれあ

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    えくれあ

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    ふる〜てぃ〜ず“だいず” たまに、空に連れていかれそうな妹が心配だった。

    「……。」
    「あずき。あずき?……あずき!」
    「うわっ!?」
    「さっきから、呼んでる。気づかないのは、ひどい。」
    「だいず姉か…びっくりした。」
    「……また考え事?」
    「……まあ、そんなとこかなぁ。」

     双子とはいえ一応姉である自覚のある彼女……くすみのかかった淡い空色の髪をしたのほうでシニヨンに結いて、下がり眉の愛らしいサファイアには不安の色がチラついている。桃空だいず、双子の妹はあずき。
     何をするにも2人で1つ、たまに喧嘩もするけれど一蓮托生、一心同体な仲のいい双子だ。
     何をするにも妹の癖に引っ張って行ってくれて一緒に乗り越えてくれる。そんな、ちょっと生意気で、でも大事なたった1人の妹。もう1人の自分のような存在。

    「夜中に僕のこと起こさない方法でも思いついた?」
    「それは!思いついてない!……それについてはしばらく付き合ってよぉ。」
    「あずき、もう6年生でしょ…。」

     やれやれ、といった様子で呆れてみせるだいずだが、しばらくは夜中に「一緒に寝ていい?」と布団に入ってくるのを許してあげようと思う。寒がりなだいずにはあずきの体温が気持ちよくもあった。

    「昨日も一緒に寝たでしょ。」
    「悩んでるのはそれもだけど、それじゃないのー!」

     やっぱり、悩み事はそれじゃないらしい。
     何だか遠くに行ってしまう気がして怖いのだが、その度に声をかける。上の空でさっきみたいに気づかれないこともしばしばあるようだが。

    「どうしたら、じぇら〜とみたいになれるかなぁって。」
    「あずきはホントに好きだね。」
    「そりゃぁもちろん!私たちのこと助けてくれたもん。」

     じぇら〜と。隣国であるフリュイのふる〜てぃ〜ず。
     だいずとあずきの命の恩人。

    「……そうだ、ね。」

     でも、この思いは許されないこと。だって、戦争の相手に憧れてるんだから。
     じぇら〜とに憧れて、養成クラブの試験を受けた。あずきに無理矢理連れられての参加だっただいずだが、あずきがやるならと腹を括って頑張った。結果は見事合格。それも二人一緒に。合格した時は手を取り合って喜んだ。何人も何人もいた中で勝ち取ったふたつの場所。苦手なところを補い合いながら頑張っているつもりだ。
     しかし、最近、さつまの様子がおかしいとだいずは感じていた。じっと監視されているような、なんとも居た堪れない、もやっとした感覚。そんなものをさつまから感じるのだった。

    ーー気のせい?そう思いたい。何か、探られている。

     もしかしたら、辞めさせられるかもしれない。感の鋭いだいずはそう感じている。
     そもそもルレギュームのふる〜てぃ〜ずは、表向きは1人前のスクールアイドル戦士になること、そしてでぃっぷの後継者となりエメラルドの元に尽くすこと。……しかし、本来の目的は国王の守護者であり、スティルペースマジックの力を持っての国の統治であった。
     それを知ってからは「そんなのはふる〜てぃ〜ずじゃない」と双子で結論を出し、良くないと思うことには加担しないようにしていた。そもそもだいずたちはまだ見習いな事もあり、大きく関わるようなことは無いが…。

    「ねぇ、あずき。」
    「なに?」
    「僕、ちゃんとふる〜てぃ〜ずやれてるかな。」
    「大丈夫!あずき姉はちゃんとやってるって!」
    「うん。」

     あずきと一緒に、守護者として、清いふる〜てぃ〜ずになって……あの時みたいに誰かを助けたい。
     だいずはそう強く願っている。
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