ふる〜てぃ〜ず“あずき” 誰にだって、言えないことはある。それが、共に戦う仲間であったとしても、だ。
「……き。あ…き。……あずき!」
「うわっ!?」
「さっきから、呼んでる。気づかないのは、ひどい。」
「だいず姉か…びっくりした。」
「……また考え事?」
「……まあ、そんなとこかなぁ。」
この姉、鋭いな。四六時中一緒にいればこんなものなのだろうか?たしかにだいずがウソを着く時も焦ってる感じが顔に出るからそんなとこかなぁとあずきは考える。
柔らかな赤の髪を頭の上で2つのシニヨンにまとめあげて胸には小さなリボンタイ。丸いパッチリとした輝く宝石はガーネットといったところだろうか。いつもコロコロ変わる表情をむむむと歪ませているのは桃空あずき。王立オルス学園初等部の6年生だ。
「夜中に僕のこと起こさない方法でも思いついた?」
「それは!思いついてない!……それについてはしばらく付き合ってよぉ。」
「あずき、もう6年生でしょ…。」
そんなあずきをじとっと見つめる同じ顔…違うのはその色素。双子の姉のだいずだ。
あずきには2つの悩み事があって、1つ目は暗いのが怖いこと。夜中怖くなるとだいずを起こしてしまうことがたまに……
「昨日も一緒に寝たでしょ。」
「悩んでるのはそれもだけど、それじゃないのー!」
ほぼ毎日あるらしい。
でもそれとは違うもうひとつの悩み事。
「どうしたら、じぇら〜とみたいになれるかなぁって。」
「あずきはホントに好きだね。」
「そりゃぁもちろん!私たちのこと助けてくれたもん。」
ふる〜てぃ〜ずの活動が活発になったときに、興味が勝った双子はその戦いを見に行ってしまった。合わさる声と音でぶつかり合う両者。帰ろう、帰ろうよと言う姉の声の最中で響いた音。超音波のようなその音は2人の頭上のガラスを割った。
--逃げなきゃ
逃げられない。怖い。どうしよう。
--助けて……!!
「「危ないっ!」」
ぐんと引っ張られた気がした。
「ひゃ、ぁあっ!?」
「だいず姉……っ、なにこれ!?」
姉の声に目を見開いたあずきは、自分が…抱かれて、浮いていることに気づいた。
「ねー、ケラシオン?あたしに任しとけば大丈夫って言ったでしょ?」
「ポルトカリの観察力には頭が上がらんなぁ、双子ちゃん、あんな所で見学はよろしくないで?」
セーラー服を基調としたコスチューム、共通の星型のスティルペースクリスタル。この人たちは……。
「……じぇら〜と?」
じぇら〜とだ。敵のふる〜てぃ〜ずが助けてくれた?
「なんで?」
「ん?」
「なんで、私たちを助けてくれたの?」
「なんでって、ねえ?」
「せやなぁ。」
「ウチら、ふる〜てぃ〜ずやし?」
「守護者だもん、守らなきゃね。」
その時、あずきは思ってしまった。
「私も、あんなふうになりたい。」
これがあずきの2つ目の悩みだ。