ふる〜てぃ〜ず“でぃっぷ”「きゃろ様、本日もお疲れ様ですわ!」
生徒会室に小さなインコの声が響く。ルレギュームの守護をする戦士たちのパートナー、マヨだ。
「あら、マヨ。気遣いありがとうございます。」
元は生徒会長であるきゃろの家で飼われていたのだが、魔力を貰い共に活動している。ずっと一緒にいるきゃろの事は大好きだ。
「きゃろ様のためならマヨ、なんでもいたしますわ!」
「……パートナーのあなたに何ができるのかしら。」
そのいつも隣にいる姿勢が気に食わないのは副会長のとまと。こちらも生徒会長のことを敬愛している。
「放課後、生徒会室、二人きり…。」
「私もいるけど。」
「何も起こらないはずが…!」
暴走1歩手前、喧嘩勃発3秒前の生徒会室を元気に開ける音が聞こえた。
「ヘーイ!ご機嫌ヨー!デス!」
会計担当のぴぃすがやってきた。マヨは見るからにしょんぼりと肩を落とした。
「何も起こりそうにありませんわ…。」
「期待するほうが間違っていると思うけど。」
ツッコミを入れるのも楽じゃない。これからもっと騒がしくなるだろうにととまとは頭が痛くなる。
軽いノックのあとに2人入室してきた。これで全員だ。1年生である書記担当れたすと、広報担当であるたま。正反対に見えて2人はどこか似ている?
「ごきげんよう」
「ごきげんよう~…ってとまとさん達、何してるんですか?……ってなに、なんでこんなにマヨくたびれてんの?ぷぷぷ〜wウケる。」
「皆様、ご機嫌よう…です。れたすったら、いじめたんですか?また焼き鳥にするとか言ったんじゃないですか?……可哀想に。」
「そんなこと一言も言ったことないし!」
たまにれたすが振り回され気味なのもいつもの事だった。それを引っ掻き回すのは決まっていた。
「ワタシわかるデスよ!」
ぴぃすだ。海の向こうの異国の血が混じっているため、ただでさえスラリと目立つ身体を更にピンと伸ばしていてニコニコと自信ありげだ。
「わかるんですか?」
「Yes.これは…チワゲンカ?ってやつデスね!」
おぉ…と感嘆の声を漏らしながらたまが聞くと、ぴぃすは自信ありげに答えた。
「はぁ?」
当の本人たちは不満そうだ。
「なるほど。喧嘩するほど仲がいいってことですね。私、ちょっと、羨ましいかもです。」
「お気楽でいいわね。」
感動しているようなたまに、れたすは呆れ気味だった。
「まあまあ2人とも、Sit down…もうすぐtea timeのお時間デス。」
口元にピンッとたてた人差し指を持ってきて、シーッ!と言うぴぃすにマヨはご立腹だった。
「うるさいのは貴女のせいですわよ!」
「ふふ…ぴぃすさんの言う通り…毎週恒例のティータイム…及び、オルス学園高等部生徒会役員による定例会を始めましょう」
「さぁ!全員席に着くのですわ。きゃろ様が困ってしまいますわ。」
お茶会……いかにもお嬢様校らしい響きであるが、ミーティングの隠語である。きゃろのひと言で空気が凍る。
「それでは、定例会を始めます。司会進行は副会長の輝赤(きせき)とまとが務めます。早緑(さみどり)書記、記録を。」
「はいはーい。このれたすさんが記録とりますよ~っと。」
生徒会の役員は選挙ではなく学力で決まる。それがオルス学院の決まりだった。
「今日の議題は何ですカ?」
少々騒がしい用でも、回転は早かった。
「本日の議題は次回の会計審議会について。そして…今後の攻略について。」
「それは…後半の議題がmain…デスね?」
凍った空気が更に冷える。
「最近はフリュイ側も動き出しましたからね」
ノートをパラパラと確認しながらたまが言う。
「黄土(きづち)広報、なにか情報は?」
「はい。フリュイ側もふる~てぃ~ずを育成、活動を始めているようです。今のところこちらに侵略するようなところはなさそうですけど。」
「ウチもsmall ladyたちのnurtureをstartしたと聞いたデス。」
「すむ~じ~でしょう?あーんな頭の弱そうなロリっ子たちに何ができるのかしら」
「…小さな子たちなら洗脳しやすいですし。」
「うわ…。」
小さな約立たずで何が出来るのかと思ったけど、そういう考えも持てるな。それがさらりと口に出来るたまは頭が切れると感心しつつ、引き気味のれたす。それを見たきゃろが言う。
「我が国の繁栄が第一ですので、そのようなことは当たり前でしてよ?なにか異議があるというの?」
「いえ。なにも。」
余計なことは言わない。いや、言ってはいけないのだ。
「よろしくてよ。」
「とにかく対策を立てなくては!あぁ、きゃろ様がまた危ない目に…マヨ、ずっとお傍にいますわ。」
「ありがとうマヨ。では、次回までに攻略案を考えてくること。いいこと?」
きゃろはその場にいる全員を見渡す。そうなったら言うことはただひとつだ。
「仰せのままに。」