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    case669

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    case669

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    あけおめレオジャミ短いの
    落ちがどっか行ったので尻切れだけどとりあえずぽいぽい

    ##レオジャミ

    あ、と。
    あえかな吐息交じりの声がひんやりとレオナの聴覚に触れ、ぬかるみのような快感の中から理性を思い出させる。どうしたと問う代わりに、纏う汗すら残さず味わうように舌を這わせていた肌から顔を上げてジャミルを見下ろせば、快楽に蕩けた瞳が緩い弧を描いてレオナを見ていた。その満足げな顔に誘われるまま、少し干からびた唇を潤すように幾度か啄む。んふ、と待ち望んでいたかのような、吐息すら飲み込み同じ体温の舌を食むだけで、奥深くまで突き入れた場所がきゅうきゅうと締め付けられレオナも深く息を吐く。背を抱いていた指先がさも愛おしいと言わんばかりにレオナの肌に張り付く髪をかき上げ、髭が生え始めたざらつく頬を撫でていた。目と目を合わせ、肌の内側がさざめくような幸福感に満たされながら、言葉にせずとも全てを委ね、そして委ねられているような陶酔を噛み締めてようやく、思わせぶりな薄い唇が開かれる。
    「あけましておめでとうございます」
    一瞬、色欲に浸りきった脳では異国の言葉のように聞こえた。あけましておめでとうございます、もう一度心の中で繰り返し唱えてようやく意味を理解し、思わず片眉を上げる。
    「……今言う事か?」
    「だって、ほら、年が明けたの、本当についさっきなんですよ」
    ジャミルの目が動く方を見れば確かに時計は0時を20分程過ぎた所だった。年号が変わることよりも、ベッドにジャミルを引き摺りこんでからもうそんなに時間が経っていたことへの驚きの方が強い。此処までレオナが没頭していたというのに、ジャミルは時計を気にする余裕があった事が面白く無くて、レオナを暖かく包み込む場所を揺する様に捏ねてやれば容易くジャミルが喉を晒して鳴いた。
    「ずいぶんと暇にさせたみてぇで悪かったな?」
    「ふ、そんなこと言ってないじゃないですか」
    少し突くだけで簡単に快楽に飲み込まれるほどに蕩けている癖に、まるで保護者のような顔で年下の男が笑う。
    「ただ、去年は日付が変わった事に気付く余裕もなかったなあって思って」
    確かに去年の今頃はこんなにまったりと溶け合うようなセックスではなく、互いに奪い合うような激しい行為で貪っていた気がする。気付いた頃には外が明るくなり始め、ジャミルの喉は枯れ、お互い体力を使い果たして気絶するように眠り、そのまま一日中ベッドの中で元日を過ごした。
    「……嫌だったか?」
    「まさか。最高でしたよ。次の日の事を考えなければ」
    そうしてねだるようにジャミルの腕がレオナの首に絡みつき引き寄せられる。結局、言葉を取り繕っても物足りないという訴えに違いないことにひそりと笑いながら、レオナはジャミルの足を抱え直した。
    「あ、でも流石に歩けないのは困るので加減してください」
    「それは自力でどうにかしろ。ぶっ飛んだら延々とねだるのはテメェの方だ」
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    case669

    MEMO黒峰さんの猫じゃみちゃんの絵から書いたカリジャミにゃあ。

    と、ジャミルが鳴いた。
    いつもひんやりとした眉毛をへにゃりと下げて、つり上がった目尻を垂れ下げて、いつもきりりと結ばれた唇をぱかりと大きく開けて、もう一度、にゃあ、と鳴いた。
    「じゃっ……じゃみ、ジャミルが可愛い!!!」
    カリムが思わず頬へと手を伸ばせば、避けるどころか自ら近付いてすりすりと頬擦りされた。更にはそのままカリムの足の上に我が物顔で乗り上がって座り、ちょん、と鼻先が触れあう。思ったよりも重くて足が痛い。けれど、今まで見たことも無いくらいに蕩けきったご満悦な顔をしているジャミルを見てしまっては文句なんて言えようも無かった。
    「……ジャミル?」
    「なあう」
    名前を呼べばふにゃふにゃの笑顔でジャミルが答える。なあに?とでも言ってるような顔でこてりと首が傾き、ぴるぴると頭に生えた猫耳が震えていた。
    ジャミルが可愛い。
    いやいつもの姿だって十分可愛いのだけれど、それはそれとしてジャミルが可愛い。
    感極まって思わず唇を重ねようと近付けるも、ぐいっと二つのぐーにした手で思い切り顔を押し退けられてしまった。
    「ふなぁーあ」
    やーだね、とでも言っている、ような。思わぬ抵抗を受けて 1203

    case669

    MEMOファレレオワンドロ
    【初めてのキス】【体温】
    国の代名詞でもある、燃え尽きる直前のような鮮やかな紅蓮に染まった王の寝室。空の色に負けない立派な鬣の海に眠る穏やかな顔。馬乗りになった身体は、まだ暖かかった。
    こんなにも穏やかな気持ちで兄の顔を見るのはいつぶりだろうか。
    秀でた額から、意思の強さをうかがわせる太い眉を撫で、堀の深い鼻梁を通って唇へと指先が触れる。まだ柔らかい。この唇がたくさんの言葉を紡ぐのを聞いた。良いことも、悪いことも、此処から溢れだした音はいつだってレオナの心を乱した。それも、もう二度と聞くことは無い。
    その唇よりも雄弁だった兄の二つの瞳は今や目蓋の向こうに封じられた。二度とレオナを映すことはない。レオナ以外を映すこともない。最期にレオナだけを焼き付けて伏せられた目蓋に、自然と唇を寄せていた。二度と開くことが無いようにと、子供騙しのようなおまじない。ちぅと微かな音を立てて啄み、離れてもその目蓋は伏せられたままで、そういえばこの男は死んだのだなと何処か他人事のように思う。この距離にレオナが在るのに、ただ静かに動かないままの兄が少しだけ慣れなくて、少しだけおかしかった。
    兄は、死んだ。レオナが殺した。
    きっと今頃、兄の 1510