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    kukukuroroooo

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    #リンゼル

    【天来の玉座】主従逆転リンゼル【おおあらすじ】時系列

    王家に念願の姫が生まれた。しかしのその夜のうちに姫は王子にすり替えられた。
    すべては厄災を封じる唯一の姫ゼルダを護るため。
    身代わりとなったのは近衛騎士の同時期に生まれた息子だった。
    占術師の言葉を借り、王家は齢十を超えるまで子を隠匿することを公言する。
    それもすべて近い未来に起こる厄災を封じんがためだった。

    ゼルダとリンクはハテノで育った。
    近衛騎士の父と病弱な母。ゼルダは父母と双子のリンクと暮らしていた。父母は二人をとても愛してくれていた。溢れんばかりの愛情に二人はすくすくと成長していた。もうすぐゼルダは十歳になる。
    ゼルダの方が手を引いて遊んでいたリンクはいつの間にかずっと強くなっていた。くったくのない笑顔だけは変わらなかった。
    ほんのりとゼルダはリンクへの恋心に目覚める。けれど胸の奥にしまう。血のつながったリンクと結ばれることはけっしてない。知られればリンクを困惑させ、両親を苦しませるだろう。けれどどうしてこんなにも惹かれるのだろう。双子として大好きだったリンク。でももうその枠のなかに押し込めていられない気持ちが確かにあった。胸が少し膨らんで、丸くなっていく体と比例するようにそれは次第に確かなものになろうとしていた。リンクと血が繋がっていなければよかったのに、そう思い始めた頃、別れは唐突に訪れた。
    母の死。死から数ヶ月も経たぬ間にリンクは豪華な馬車の迎えを受け、王都へと行ってしまった。残されたのはゼルダと近衛騎士の父だけだった。

    父に連れられ、ゼルダは一月遅れで王宮へと入ることになった。王都にいるはずのリンクには会えなかった。父は元気でいるとだけ教えてくれた。いつか会えると信じてゼルダは侍女として働いた。
    髪がすっぽり隠れる衣装。本来なら他の者と同室だが、ゼルダだけは侍女長と一緒。
    もう十ともなれば働かなければならない。ゼルダは王族の侍女として働き始めた。掃除から始まり、料理番、洗濯などの雑用係を経験。時折、王妃様がやさしく声を掛けて下さることが幸せだった。香水ではないいい香りがしてとても懐かしい気持ちになる。ゼルダは王妃様が大好きだった。父の計らいでゼルダは学ぶことを許された。週の半分は大きな図書館で好きな本を読み、遺物の研究室にも出入りできた。厚遇だったのは父と王妃様のおかげ。十三の歳にようやく直接王族の方々が住まう場所をお手伝いすることになった。
    噂で皇子の人となりが耳に入る。とても自分自身に厳しい方だと。それでもふいに見せる優しさに若い侍女達が夢中になっていると。どんな人だろうと少し興味を持つがゼルダにとってはリンクが唯一の人でそれ以外はただの人でしかなかった。皇子にはすでに決まった方がいるらしい。それでも齢十を過ぎたばかりの皇子は女性を惹き付けるという。
    侍女の間で噂は巡る。「そろそろ傍付の侍女が選ばれる」「傍付の侍女は男性として成長した皇子の最初の相手としてもその役を果たす」ゼルダはその意味がよくわからなかった。図書館で読むのは科学書ばかりだったからだ。分かるのは王家が繁栄するためにはいつか皇子が結婚して子を成さねばならないということだった。「あの方の泉になりたいわ」侍女の囁く言葉の意味をゼルダは分からなかった。
    図書館にいたゼルダの耳に騒がしい人の声がする。皇子を探す声だ。ゼルダは緊張した。皇子を目にすることをゼルダはまだ許されていない。今日は皇子が図書館を訪れる日だっただろうか。読みかけの本を抱え、ゼルダは慌てて奥まった書庫に隠れた。足音が近づいてくる。声すらまだ耳にしたことがない。それだけ尊い人なのだ。ゼルダは青ざめた。
    小さな書庫だ。隠れる場所は多くない。ゼルダは小さな女神像が少し高い場所に飾られた壁面に救いを求めるように体を押しつけた。その壁が回転しゼルダは書庫に転がり込んだ。わずかに光の差し込むその場所は正三角形が三つ床に描かれた部屋だった。祭壇のように龍の文様が描かれた小さなへこみに光が差し込んでいる。手を当ててみてわかる。それは太陽の光だった。
    出口はない。壁はピタリと閉じ、爪の先がかろうじて引っかかるだけ。ゼルダの力では開くことはできなかった。
    そこに入ってきたのは皇子だった。
    かつて兄弟として一緒に暮らしていたはずのリンクだった。
    あの頃の優しい表情は消え、鉄仮面のような無表情で無口になっていたリンクに驚き戸惑う。
    「どうしてここにいる」その声はゼルダの知るリンクの声ではなかった。低く痺れるような声色。けれどその中には確かに懐かしいイントネーションが混じっていた。名を呼ぼうとしてリンクの鋭い青い目に身をすくめた。
    リンクはまるでゼルダなど知らないかのように振る舞う。
    恭しく接するゼルダ。ここでは主従なのだと痛感した。そしてこの部屋が禁忌の部屋であること、けっして他の者に喋らぬことを約束させられた。そして数日に一度リンクの合図とともにここに来るように申しつけられた。
    その日から皇子付きとなったゼルダはリンクと一日を共にすることになった。リンクは別人のようだった。もしかしたら本当に別人なのかも知れないとも思うけれど、耳の付け根から香る匂いはリンクの香り、寝顔はゼルダがよく知るリンクのものだった。混乱しながらもリンクの世話をする。
    禁忌の部屋でリンクは禊ぎを一人で行う。上半身裸で、女神のために剣舞を踊るのだ。ゼルダはその様に見惚れた。こんな素晴らしいものを自分一人で享受していいのだろうか。祈るように見ているとリンクがゼルダを見た。ドキリと胸が鳴る。
    目を閉じるよう命じられ、ゼルダは目を閉じた。閉じた闇のなかでリンクの動きが空気の動きでわかる。不思議な気持ちだった。目で見ている時より、ずっと近くにリンクを感じた。体と体の距離ではなく、心と心が触れ合うような感覚。いつも冷たく厳しい言葉ばかりのリンクがゼルダのよく知るリンクに戻っているように思えた。(リンクにとってはじっとゼルダを見つめる時間・妖精の力をゼルダに与える・コログたちが祝福の音楽をゼルダのために奏でる時間)
    最初は髪、次第に指先にリンクが触れる。それは日を追うごとに長く近くなっていく。勘違いしてはいけないと思うのに、ゼルダはこの時間を待ちわびるようになった。
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