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    amaama1205

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    amaama1205

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    無印軸のキラが実はザフトの白服(フェイス所属、無印軸からフェイスって名称があったかどうかは無視)だったという設定のinザフトの導入部。アスキラのつもりで書いてますが終盤までアスキラ要素がマイナス値叩き出す予定。冒頭で敬礼したのは今後出てくるヤマト隊副官です(オリキャラではない)

    いつかアスキラになるはずのキラinザフト他の何を犠牲にしても、誰に恨まれたとしても構わないと思っていた決心はいっそ笑える程簡単に崩れ去ってしまった。そのあまりの脆さに嫌気がさして、目の奥が熱を帯びる。
    お前を討つ、というその言葉の意味が頭の中で何度も何度も繰り返される。ずっと聞きたかった、記憶の中のそれよりも少し低い声音。しかし紡がれたのはまるで今生の別れとも錯覚してしまいそうな決別の言葉だった。
    それでも、もう歩んできてしまった道を戻ることは許されない。泣いては駄目だ。せめて今だけは堪えなければならない。そう何度も己に言い聞かせ、唇を噛み締めて耐えるより他になかった。
    「キラ」
    気遣わしげにかけられた声に、キラは動揺で声が震えないよう注意して言葉を吐き出す。
    「これより、帰還する」
    「了解」
    何も聞かず、最低限の応えと共に敬礼をした彼の優しさが、今は苦しかった。


    地球連合軍の戦艦に人質として囚われていたラクス・クラインを保護したアスランはヴェサリウスに帰投した。追悼慰霊団代表とはいえ軍人ではないラクスをこのまま軍艦に乗せているわけにはいかず、ヴェサリウスの航路は最短で辿り着くことのできるコロニーへと向かう手筈となっている。プラントでは随一の人気を誇る歌姫が無事に救出され、更にはその救出に加わったのが婚約者であり国防委員長の子息であるアスラン・ザラであるという出来過ぎたようなシナリオはプラント全土に速報として報じられ、ヴェサリウスのクルー達にも安堵の表情が多く見られた。
    そしてそれを目にする度に、相反するようにアスランの表情はやり切れない焦燥と後悔で染まっていく。どうしてあんな事を言ってしまったのだろう。そんなつもりは無かったのに。他の誰へでもない、自分自身に対する苛立ちが抑えきれなくて、まるで頭を殴られているかのように視界が揺れる。脳裏には彼の絶望に満ちたような表情が未だ色濃く残っていた。
    こちらへ来いと告げたのに、彼……キラ・ヤマトはそれはできない、守りたい人がいると言って、アスランの申し出を断った。
    誰だそれは。幼少期を共に過ごした親友と敵対することになったとしても守りたいものとは。頭の中が真っ白になって、次第にふつふつと怒りが湧いた。ついには心にもない言葉を吐いてキラを突き放してしまったのだ。
    そのやりきれない感情がただの醜い嫉妬であるとようやく気付いて、アスランはヴェサリウスの通路半ばでその場に頽れた。
    「アスラン!?」
    動けずにいるアスランを、いち早く見つけたのは同僚であったニコル・アマルフィだった。
    「……ニ、コル」
    「顔が真っ青ですよ!」
    抱え上げようとしてくれる手を制し、ふらつきながらも立ち上がったアスランはどうにか己を鼓舞する。やはり到底諦めきれるものではない。キラがラクスを逃したのは独断だったようだと彼女から聞いたが、連合のクルーが貴重な戦力であるストライクのパイロットを厳しく罰する可能性は低い。もし次に戦場で見えることがあれば、彼が嫌がろうと、自軍に何と言われようと無理矢理にでも拿捕し、救い出す。そういう決意を胸に、アスランはニコルに向き直った。
    「どうかしたか」
    「え、ええ……クルーゼ隊長から召集です。ブリーフィングルームに来るようにと」
    「分かった」
    「大丈夫ですか?体調が悪いんじゃ……」
    「問題ない」
    気遣わしげな表情のままのニコルを連れ立って、アスランはヴェサリウスのブリーフィングルームへと向かった。そこには既に召集をかけたラウ・ル・クルーゼは勿論のこと、同じ隊に所属するイザーク・ジュールやディアッカ・エルスマンも到着していた。遅いと言わんばかりのイザークの冷ややかな視線を躱し、アスランは敬礼の姿勢を取った。
    「遅くなり申し訳ありません」
    「ふむ、これで皆揃ったな」
    仮面を身に付け顔の半分程を覆い隠しているクルーゼの表情は酷く読み辛い。しかしまるで虫の知らせのような良からぬ予感が、アスランの背筋を駆け抜ける。
    「本国からの通達があった。ラクス嬢を送り届けた際、アスラン……君もこのヴェサリウスを降りる事になる」
    「は……?どういう、事ですか」
    「私も詳しい事は知らんのだよ。ただ分かっているのは、君がそのまま退役するという事だけだ」
    「退役!?」
    叫んだのはアスランではなくイザークだった。イザークの隣でディアッカやニコルも驚きを隠せない様子で絶句している。退役というにはアスランはまだ年若い。軍役をこなせないような怪我や障害を負ったわけでもなく、近頃はストライクとの戦闘時に精彩を欠くことはあってもそれによって退役まで迫られるような軍規違反をおかしたわけでもない。その報せはアスランとしても当然納得できるものではなかった。
    「私としても君を失うのは痛手だったのでね、掛け合ってはみたが……理由が分からなかったということは、『上』からの圧力としか言い様がない」
    「……父の、差し金ということですか」
    アスランの実父パトリック・ザラはプラントの国防委員長であり、ザフト全軍に於ける指揮権を持つに等しい。穏健派で知られるプラント現最高評議会議長シーゲル・クラインと実質敵対関係にあるといっても過言ではない急進派の彼は、使えると思うものは例え自らの一人息子であろうと容赦無く利用する。アスランの退役がパトリック・ザラに何らかのメリットを与えるとは考え辛く、だからこそアスランの退役が許されるとすればそれはパトリック・ザラが何かしらの要因を持っていると考えた方が筋が通りやすい。
    昔はあんな人ではなかったのに、とアスランは握った拳に力を込めた。元よりあまり家庭に目を向ける人間ではなかったが、それでも妻には不器用な愛を注ぐ男だった。全ては『血のバレンタイン』、ナチュラルによるユニウスセブンへの核攻撃が始まりで、その事件により妻を失ったパトリック・ザラは殊更ナチュラルを憎み、この世界にはコーディネイターのみが存在すべきという偏った思想を掲げるようになったしまった。
    アスランとて無用な核攻撃によって母を失い、ナチュラルを憎んだ。その為に従軍を決意し、ザフトに入隊したのだ。この虚しい戦争を早く終わらせる。終わらせて、せめて最後の拠り所と言ってもいい親友に会いに行きたい。しかしそんな希望を打ち砕いたのもまた戦争だった。ヘリオポリスでのモビルスーツ奪取作戦に巻き込まれた親友……キラが、地球軍として目の前に現れたのだから。
    必ずこの手で戦争を終わらせるなどという強い気持ちがアスランにはあるわけではない。終わらせられるならばこの際誰だって構わない。退役勧告もこんな状況でなければ受け入れていただろう。しかし今のアスランにはそれが出来ない理由があった。キラを戦場に残して、自分だけが去る訳にはいかないのだ。
    「クルーゼ隊長、自分はッ……」
    アスランが嘆願を口にしようとしたところで、艦内にアラートが鳴り響いた。クルーゼが冷静さを欠くことなくブリッジに通信を繋ぐ。
    「何があった」
    『接近する熱源あり、しかし単機で、あれは……足付き所属のモビルスーツです!』
    「何?」
    『足付きらしき熱源はなし、通信回線が開かれています。クルーゼ隊長に取り次いでほしいと』
    「分かった、ブリッジに向かうから少し待つように伝えろ」
    『了解しました』
    ブリッジとの通信を切り、少し考える素振りを見せたクルーゼは勢揃いしている隊のパイロット達を一瞥し、低重力を利用してふわりと浮き上がった。
    「君達も来たまえ」
    『しかし隊長、我らはモビルスーツの発進準備を!』
    「落ち着きたまえイザーク、相手はわざわざ単機で、こちらとの通信を希望している。状況を見てからでも遅くはない」
    さり気なくクルーゼの視線が己に向けられたのをアスランは感じ取っていた。足付きのモビルスーツとは間違いなくストライクだ。そしてクルーゼはヴェサリウスのクルーの中で唯一ストライクのパイロットがコーディネイターであり、アスランの幼馴染である事を知っている。しかしアスランがそれを訴えたところでクルーゼは情に厚い人間ではない。例え同胞であろうと、艦に銃を向ける者を許さないだろう。
    しかしアスランにとってはこれがキラをプラント側に引き入れる最後のチャンスに思えた。逸る心を抑えブリッジへと入ると、すぐにクルーゼは通信チャンネルを開いた。
    『こちらは地球連合軍所属のモビルスーツ、ストライク。貴艦との戦闘の意思はない。着艦許可を願う』
    「何故足付きのモビルスーツが着艦許可など!」
    声を荒げたイザークの隣で、アスランはメインモニターに映るストライクの姿を見つめた。通信回線を通して聞こえた声音はやはり間違いなくキラのものだった。あんなにこちらへ来いと訴えても拒否していた彼は、何故突然単機で敵艦の前に現れたのだろうか。
    「連合の人間がザフトの軍艦に何用かな」
    『アスラン・ザラから聞いているのではないですか、ラウ・ル・クルーゼ隊長』
    「君がコーディネイターであるということかね、キラ・ヤマト」
    淡々と告げたクルーゼの言葉に驚愕したのはアスラン以外のモビルスーツパイロットとブリッジクルー達だった。ストライクのパイロットがコーディネイターである事実は伏せられていた為、当然その素性はただのナチュラルだと思われていた。
    「どういう事だアスラン!」
    「……ストライクのパイロット……キラは、月の幼年学校に通っていた頃からの幼馴染だ」
    「何だと……!?」
    「じゃ、じゃあ何か、お前……ずっとダチと戦ってたってのか」
    あまりの事実にイザークとディアッカは驚愕し、ニコルも言葉を失っていた。
    『ストライクは連合から奪ってきました。そのまま貴艦に差し上げます』
    「どういう風の吹き回しかな」
    『この認識番号で探して頂ければ見つかると思います。名前からの検索は出来ないようにしてもらっていますから』
    突如、ブリッジのメインモニターが切り替わった。何らかの文字列……プログラムのコードが高速で流れ、やがて再び画面が切り替わる。表示されたのはザフトにおいて軍人が個別に与えられている認識番号を検索するシステムだ。そこに六桁の番号が一桁ずつ入力されていく。
    「艦のメインシステムが何者かにハッキングを受けています!制御不能……ハッチが強制解放されます!」
    管制官が焦ったように声を上げた。通信回線が開かれてからの短時間でヴェサリウスのシステムに侵入し、艦の制御を乗っ取ったのだろう。戦闘配備を促すアラートも止み、ハンガーにいる整備クルー達からはモビルスーツが着艦してきたと焦ったような通信が入った。
    しかしその時既にブリッジにいるクルー全員がメインモニターに視線を縫い付けられてしまっていた。アスランが何故、と小さく声を出して、クルーゼが詰めていた息を吐き静かに、けれどもブリッジにいるクルー全員にはっきりと伝わるように声を出す。
    「乗艦を許可しましょう……キラ・ヤマト隊長」
    メインモニターに映ったIDが示したのは、ザフト軍では隊長クラスが纏う事を許される白服に身を包んだ『キラ・ヤマト』の姿だった。
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    amaama1205

    MOURNING旧題:ミレニアム女子会で針の筵にされるズゴッk…アスランの話

    アス→→→→→←←←←←←←キラ
    TS准将+体だけの関係をだらだらと続けている准将をどうにかしないといけないという使命感に目覚めるルナマリア、アグネス、ヒルダ計4名の女子会という謎軸。
    (准将は最高のコーディネイターたる遺伝子を遺したくないという設定ですが作者の私は准将妊娠しろって思ってます)
    一佐と准将いっそ早く結婚しろ「隊長ってアスランと結婚しないんですか?」
    意を決したように切り出したルナマリアの言葉に、キラはことりと首を傾げた。世界平和監視機構コンパスの主力艦ミレニアム。クルーが休憩に使用するラウンジに集まっていたのは女性モビルスーツパイロット達だった。准将、総指揮官、そしてヤマト隊隊長であるキラと、ヤマト隊所属のルナマリア、アグネス。そしてハーケン隊の紅一点ヒルダ。定期的に女子会と称して開催されるその集まりは元々ワーカホリックであるキラを諌める為にコンパス総裁ラクス・クラインが指示して定例化させたものだ。議題は持ち回り制で、プラントに新しくオープンしたカフェやら新発売のコスメの使用感やらと様々だが、この日はどうやら色恋らしい、とキラはコーヒーの注がれたマグカップを傾けながら問い返す。
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    amaama1205

    DONEあめさん(@nemui_365_day)さんからリクエストいただいた《無印軸の両片思いアスキラ》、メンデル後あたりの設定です。甘々イチャイチャエチエチでもほろ苦く切ない系でもって言われたらもれなくほろ苦くなっちゃいましたシリアス芸人ですいません…
    (多分このあと最終回のアスランが迎えにきたところでアスランが告白するはずだけど私が書くと何故かキラが失踪しそうだったのでやめました笑)
    無印両片思いアスキラいつか戦争が終わったら、という夢を見ていた。全て終わったら友人達と共に戦艦を降りて学生に戻って、ゼミの課題がどこまで進んだとか、今日のランチは何にしようとか、そういう他愛のない会話だけをして一日を過ごす日々。軍の機密に触れてしまった身でどこまでの自由が許されるかは分からないけれど、それなりの功績が認められれば恩赦があるかもしれない。戦争が終わったとしたら恐らくすぐにとはいかずとも国交は正常化に向けて動き出してくれるはずで、そうなればオーブとプラント間の行き来もできる。舞い散る桜の花吹雪の中で交わした別離の苦しみなど二度と味わうことはない。会いたい時に彼に会える、そういう幸せが訪れる夢だった。
    今は誰もいない、エターナルの展望デッキ。ここで数時間前に見た彼の姿を思い出し、キラの目の奥がじわりと熱を帯びる。近頃は補給や打ち合わせと称してよくエターナルに現れる、つい最近自らの双子であると判明したばかりの女性に向けられた、彼の柔らな表情。気心が知れた相手にだけ向けられていたはずのそれがもう自分だけのものではないのだと思い知らされた気分だった。
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