鬼の居ぬ間に 滔々と語る恋人の愚痴、もとい惚気に「わかるなあ」と同意が返ってきたのは、思いもよらない相手からだった。
「彼氏のそういうところ、すっごくムカッと来ることもあるんだけど、やっぱり好きだから許せちゃうんだよね」
思わずそちらを見やる。妖怪女子の中にひとり、場違い感の否めない人間の少年が混ざっている。訳知り顔でうなずく彼に「ケータくんもわかってくれる?」と水を向けた。
「わかるよ! でもさあ、そうやって振り回されるのが嬉しい時もあったりしない?」
彼の笑顔を見てすぐにわかった。話を合わせているのではない、心からの同意によるものだ。自然と言葉が弾んだ。
「そうなのよ! 何だかんだで楽しんじゃう自分に気付いたりするのよね」
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