雨垂れ雨垂れの夜
ふと肌寒くて目が覚める。
微かに雨垂れの音がするから外は雨が降っているのかもしれない。
暗い部屋の中隣にある筈の温もりを探して身じろぐが、隣には誰もいない。微かな温もりの残滓があるから、先程までここに居たのだろう。
まだ起きるには早いから、手洗いにでも行ったのだろうか。それにしても、薄ら寒い。
温もりの残る布団の中に身を沈めて丸くなってもなお足りなくて早く帰ってこないだろうかと半分寝ている頭でぼんやり思う。
昔は独寝が普通で、どんなに寒くても一人で耐えるしかなかった。でも、今は当たり前の様に隣に熱が在るからこの肌寒さが無性に寂しく感じてしまう。
いつからこんな我儘に、そして弱くなってしまったのだろう。同時に人間という生き物は強欲なのだと思い知る。一つ手に入ればもっと欲しくなる。
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