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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    化粧品を買う🦍と🐇さんの短いお話

    #ディンエラ

    化粧品 新作のコスメが並べられた屋台の前で、ヴィエラは目を輝かせていた。華やかな装飾が施されたリップグロスやフェイスパウダーなどの容器や彼女を一歩引いた所でルガディンは眺めている。見ていて楽しくない訳ではないが、それに群がる女性に圧倒されそうな気がするのと、邪魔になってはいけないと思い、時々周囲に目を向けていた。
    「これ!前ウリエンジェに教えてもらったやつなんだけど、可愛くない?」
     ウリエンジェの女子力の高さにも困惑しながら嬉しそうにそう言う彼女の指の先に視線を向ける。月や星など夜空をモチーフにしたデザインのコスメが並んでいた。あぁ占星術士、と独りごちた彼に、彼女も満足げに笑う。色合いや描かれた星座が気になった彼は少し首を傾げた。
    「国毎の夜空がモチーフになっているのか?」
    「そう!!」
     すごいよね!と食い気味に返した彼女にじゃあこれか、とイシュガルドの夜空を指差すと、わかってるぅ、と更に彼女は頬を緩める。2人の掛け合いを見ていたのか、店員が件の品を彼女に差し出してきてくれた。お試しもできるので良ければお声掛けを、と言ってから店員は他の客の元へと向かっていく。掌の中を慈しむように見つめる彼女に買わないのか、と声をかけると、んー、と言い淀まれた。
    「今月ちょっと出費がねぇ……大きいお家もほしいし……」
     眉根を下げて小さく呟いた彼女が今は我慢かな、と彼に笑いかける。それとも買ってくれる?と冗談めかして続けた彼女に、いいぞと彼は答えた。即答してもらえると思ってなかった彼女がは?と呟く。これか?と彼女が大事に握りしめていたイシュガルドの夜空が描かれた容器に手を伸ばした。
     示された化粧品を恭しく丁寧に手に取った店員がお試しも如何ですか?と声をかけてくる。一度目を合わせたヴィエラとルガディンは小さく頷いた。この後急ぐ用事もなければ興味もあるので、店員に促された彼女と彼は大人しく腰を下ろす。彼女の顔に塗られる化粧水などの種類や走る筆が載せる化粧品の名前は全くわからないが、元々華やかな顔立ちの彼女が一層魅力的になっていく様子は見ていて楽しかった。化粧品の内容と色合い、塗る箇所で変わるのかと疎い彼はまじまじと見入ってしまう。先程まで彼女自身によって施されていた化粧とはまた違った印象になるのが興味深かった。色粉をどこに置くのか予想しながら観察しているが見事に外れ続けていたので大人しく彼女を見つめていると、彼女と視線がかち合う。普段と異なる化粧をしていても、向けられた笑みはいつも通りでしみじみと好きだな、などと考えてしまう。それを口にするほど自分が彼女の横に居て相応しい存在と付け上がる気にもならず、心に留めてはいるが。店員の手による化粧を終えた彼女が嬉しそうに店員に礼を述べる。その様子に目を細めながら、彼は会計を済ませた。化粧品が入れられた紙袋すら可愛く愛おしいようで、彼女は弾んだ声を上げる。
    「高いのに、ごめんね?」
    「それだけ喜んでくれるなら、安いもんだ」
     普段使いもしやすいだろうし、と日常的に使い易い色が選ばれているのには気付けた彼が付け足すと、一度目を瞬かせた彼女がまた嬉しそうに微笑んだ。
    「大事に使うね」
     噛み締めるように言われたその一言だけで十分だと思いながら、化粧品で煌めく彼女の目元を見つめる。いつもより眩しく見えるのは化粧品だけのおかげではないんだろうなと思いながら、そうしてくれ、とだけ返した。
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    mitotte_kazu

    PASTナマコちゃんさん(@namakomesi )『うちよその片割れを「パートナーに愛されてる自信があるほど早く開く部屋」につっこんでどのくらいで部屋から出られるか聞きたい』やつの🦍の短いお話し
    解錠 重怠い頭を押さえて、ルガディンはゆっくり身体を起こす。無機質かつ生活感のない室内の床に転がされていたようだった。どことない既視感を覚える部屋の壁には「パートナーに愛されてる自信があるほど早く開く部屋」と書かれていた。無害そうな部屋で何よりだと思い、周囲を見渡す。当然ながら窓は見当たらず、厳重に鍵がかけられた扉のみが佇んでいた。念の為ドアノブに手をかけてみるも、扉は開かない。そうだろうなと苦笑して室内にぽつりと置かれた椅子に腰を下ろした。
     さて現実逃避はここまでにしておこう。自身を愛しているとされるパートナー、と言われれば、当然彼女のことになるだろう。世間一般的にはエターナルバンドもしており、周囲もそう認識してくれている人も少なくはない。しかし情はなくとも教会の門は広く開かれ、エターナルバンドは誰かれ問わずできるものではある。そう形容すると語弊が生じるが、彼女に情がないわけではない。というかむしろ自身が思っている以上に彼女には大きな感情を抱いている恐れがある。あれほど魅力的かつ素敵な女性が自分を選んだ、などというのは正直尊大すぎる。思い上がりも甚だしい。
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    mitotte_kazu

    PASTアルバートと🐇さんの香水ネタ
    無粋と香水 部屋に戻ってきたヴィエラが疲れたようにベッドに倒れこんだ。お疲れさん、と姿を現したアルバートに疲れたぁ、と布団に顔を埋めたままくぐもった声で返す。
    「罪食い多すぎ……」
    「仕方ないだろう」
     ぼやいた彼女に彼が短く返すとうー、と何かを訴えるように呻いた。ベッドに歩み寄り、腕を組んで彼女を見下ろす。
    「ほら、飯でも食え。腹が減ってはなんとやらだ」
     わかってるぅ、と呟いた彼女がのろのろと起き上がる。と、その首元にアルバートが顔を埋めた。形容し難い声を漏らして後ずさった彼女に彼は無邪気に尋ねる。
    「香水か?」
     花の匂いがする、と首を傾げたアルバートに一瞬の間を置いてヴィエラは頷く。
    「花だけじゃないけど……」
     指を折りながら彼女が香水に含まれている植物の名を挙げていくが、幾つかピンとこないようで彼は更に首を傾げた。その様子を見てゆっくりと立ち上がった彼女が室内のドレッサーに近付く。しばらくそこを探っていた彼女がこれこれ、と綺麗な小瓶を手に彼の元へ向かって歩み寄った。ゆらゆらと彼女の手の中で揺れる瓶をなるほど、と眺めていた彼の前で、彼女は自身の手首に数回香水を吹き付ける。強く広がった香りに一瞬顔をしかめた彼があぁ、と小さく呟いた。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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