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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    キスの日なので上げた時の日付がオチになる🦍と🐇さんの短いお話

    #ディンエラ

    見舞 目を覚ますと病室のベッドの上だった。病院特有の匂いと白いシーツに包まれながら、記憶の糸を辿る。相棒のヴィエラとリスキーモブを狩っている内に負った傷からの出血が思っていたよりも多かったようで、倒れてしまったのを思い出した。傷口に目をやると、既に適切な処置が施され清潔なガーゼ類で保護されていた。
    「おはよ?」
     声の方に目をやると、手の中の林檎から目を離さず皮剥きに耽るヴィエラが備え付けの椅子に座っていた。時計に目をやり、おはようと返すには些か遅い気がして頷いて応える。
    「痛くない?」
     続け様の問い掛けに大丈夫だと返すと、よかったと頬を緩めた彼女が切り分けた林檎を差し出してきた。手を伸ばすとやんわりと引き離されたため、仕方なく口を近付ける。瑞々しい甘さが口の中に広がり、思わず頬が緩む。
    「もいっこ、いる?」
    「勿論」
     自分の分も頬張りながら、彼女がまた切り分けた林檎を差し出して来る。最早諦めに近い境地で彼女に甘んじた。見舞いの品かと思い確認すると、彼女からだと言われた。
    「……だって、あのリスキーモブ誘ったの、私じゃん」

     回復役を依頼する旨のリンクシェルがヴィエラから届いたのも思い出した。そこまで気にしなくても、と思いルガディンが口を開いた瞬間更に林檎が突っ込まれる。
    「早く治してよね!!」
     返事をするため林檎を咀嚼していると、調子出ないじゃん、と申し訳なさそうに耳を垂らされた。
    「身体だけは昔から丈夫だからな、すぐに治す」
     だからそんなに心配しなくてもいいと伝えると、別に心配はしてないけど、と彼女が唇を尖らせる。
    「2人の方が倒すのとか早いし、てかそもそもそっちが居なかったら誰が回復してくれんの?」
     そっちの心配か、と苦笑しながら彼女の連れているチョコボがいるだろうと答える。
    「早く治るよう、努めさせてはもらう」
     そう続けると鈍感、と彼女は小さく呟いた。
    「何か言ったか?」
     首を傾げた彼にべっつにぃ、と頬を膨らませる。別にという態度ではないだろうと苦笑する彼に、じとりとした視線を向けた彼女が近付いてきた。その圧に押され身を引いた彼の横に彼女は更に近付いていく。

     よっこいしょ、と外見に似つかわしくない言葉を呟きながらヴィエラはルガディンに跨った。おい、とやや慌てたように声をかけてきた彼にちらりと視線を向けただけで、彼女の動きは止まらない。
    「ここを何処だと……」
     痛くないように注意しながらやんわりと彼女の肩を掴んで離した。不満そうに唇を尖らせていた彼女が病院でしょ、と目を細める。
    「知ってるも〜ん。だから動かないでね」
     間延びした声で笑みを浮かべながら彼の服に手をかけた。病院の寝衣は処置のしやすさのためか、容易に脱がせられるように出来ていた。知ってるなら、と顔をしかめた彼が彼女の手を制する。
    「病室でしょぉ。分かってるよ」
     彼の膝の上に座り込む彼女が見上げてきた。彼女の手元にある真新しいガーゼが覆う傷から、視線を彼女に向ける。その表情はどこか拗ねた子供のようにも見えた。目が合うと彼女は両腕を伸ばし、逞しいルガディンの首へと絡めてくる。もう少しで唇が触れるかと思った瞬間、なんてね、と彼女が身を引いた。彼が小さく溜息を吐いた瞬間、彼女が彼を引き寄せ唇を重ねる。彼が目を見開くと、満足気に目を細めて離れた唇が綺麗な弧を描いた。
    「……奪っちゃった」
     にんまりと口角を上げた彼女に彼が再度深く溜息を吐いた。にまにまと笑みを浮かべたまま彼の反応を伺うように覗き込んできた彼女の後頭部を彼の掌が覆う。小さく困惑したような声を漏らした彼女をそのまま抱き寄せ、唇を重ねた。軽く触れるだけに留めて離そうと手の力を彼は緩めたが、彼女との距離は変わらないままだった。離したはずの彼女の唇は微かな音を立てて彼の首元に落ちていく。首筋から鎖骨を辿るように触れてくる彼女を、そこまでだ、とそっと掌で制したルガディンが諭す。不満気に唇を尖らせたヴィエラに小さく溜息を吐いた彼が困ったように笑って、微かに口角を上げた。
    「続きは、退院してからで頼む」
     なるべく早くする、と頭を撫でてきた彼に彼女も微笑んで頷いた。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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