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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    料理する🦍と🐇

    ##ディンエラ

    ホットサンド お腹空いたな、と呟いたヴィエラを無視しながら広い荒野に横たわる冒険者をルガディンは蘇生していた。起き上がった冒険者と手を振り合っていた彼の背中に聞こえてる?と彼女が声をかける。
    「そろそろ戻るか?」
     結構な時間居たしな、と手にした戦果やクラスターを確認しながら返した彼に嬉しそうに彼女が頷く。ガンゴッシュに着いた瞬間彼女があ、でも、と彼の服を引く。
    「お腹空きすぎてもうどこも行く元気ないかも」
     悪戯っぽくねだるような上目遣いの彼女の顔を見つめ、少し考え込んだ彼が盛大に溜息を吐いた。

     作れと?と確認するルガディンに当然のようにヴィエラが頷き返す。周囲を見渡し歩いていく彼の後を追う。
    「そっちの方がレベルが高いだろうに」
    人気のない場所に荷物を下ろして呟き、彼女に食べたいものを尋ねた。うーん、と考え込む彼女になんでもいいのか?と再度尋ねる。
    「美味しかったらなんでも」
     頷いて返した彼女に肩を落として溜息を吐く。一番難題を吹っかけてくるなと苦笑しつつ、鞄の中を覗き込む。
    「なんでもいいんだな?」
     再確認しつついつもの如く味の保証はできんがと念を押される。いいよぉ、と柔和に彼女は微笑む。
    「今まで作ってくれたの全部、美味しかったもん」

     上手く言いくるめられている気がするルガディンが苦笑しながら調理を始める。適当なハムや野菜をパンに挟めるサイズに切り揃えている様子を見て、サンドイッチ?とヴィエラが首を傾げた。
    「半分正解だな」
     微かに口角を上げた彼は熱したフライパンにバターを落として溶けたところで置いた食パンにスライスしたチーズやハム、野菜を乗せていく。それを挟むように食パンを重ね、ひっくり返した彼が手を伸ばしてきた。
    「そっちのフライパンも貸してくれ」
     持ってるだろう、と差し出された彼の手に首を傾げたまま彼女は指示されたものを差し出す。
     じわじわと焼き上げられていくサンドイッチをひっくり返した上に調理用のシートを載せ、差し出されたヴィエラのフライパンを受け取る。そしてそれでシート越しに押し付けるようにサンドイッチをルガディンが圧迫していった。
    「ホットサンドかぁ!」
    「正確にはホットプレスサンドだがな」
     少し時間がかかるが冷たいものよりは温かい方がいいだろう。こともなげに呟いたルガディンに近付き、ヴィエラは焼けていくパンの香りや音を堪能する。食べ易い大きさに切り揃えてシートに包まれたホットサンドを一口齧り、彼女が小さく悶える。美味しい、と頬を緩める彼女にそれは何よりと返した彼の口元に香ばしく焼き上がったホットサンドが差し出される。
    「一緒に食べた方がもっと美味しいよ?」

    「空腹なんだろう?」
    こういうことを臆面もなくする、と呆れながらやんわりと断る。えー、と唇を尖らせた彼女が再度ホットサンドを差し出してきた。
    「足りなかったらまた作ってくれるでしょ?」
     ほらほら、と口元に差し出されたそれを齧る。特に凝った味付けや食材ではなかったはずだがいつもより美味しく感じるのは自分が単純だからだろう、と思いながら鞄に目をやる。
    「緩急をつけてスイーツ系でも作るか?」
     フルーツやチョコを用いたホットサンドのレシピを幾つか挙げると彼女が歓声を上げた。食べたい食べたい!と身を乗り出してきた彼女が目を輝かせる。この顔に弱いな、と苦笑しながら軽く濯いだナイフに手を伸ばした。
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    mitotte_kazu

    PASTアルバートと🐇さんの香水ネタ
    無粋と香水 部屋に戻ってきたヴィエラが疲れたようにベッドに倒れこんだ。お疲れさん、と姿を現したアルバートに疲れたぁ、と布団に顔を埋めたままくぐもった声で返す。
    「罪食い多すぎ……」
    「仕方ないだろう」
     ぼやいた彼女に彼が短く返すとうー、と何かを訴えるように呻いた。ベッドに歩み寄り、腕を組んで彼女を見下ろす。
    「ほら、飯でも食え。腹が減ってはなんとやらだ」
     わかってるぅ、と呟いた彼女がのろのろと起き上がる。と、その首元にアルバートが顔を埋めた。形容し難い声を漏らして後ずさった彼女に彼は無邪気に尋ねる。
    「香水か?」
     花の匂いがする、と首を傾げたアルバートに一瞬の間を置いてヴィエラは頷く。
    「花だけじゃないけど……」
     指を折りながら彼女が香水に含まれている植物の名を挙げていくが、幾つかピンとこないようで彼は更に首を傾げた。その様子を見てゆっくりと立ち上がった彼女が室内のドレッサーに近付く。しばらくそこを探っていた彼女がこれこれ、と綺麗な小瓶を手に彼の元へ向かって歩み寄った。ゆらゆらと彼女の手の中で揺れる瓶をなるほど、と眺めていた彼の前で、彼女は自身の手首に数回香水を吹き付ける。強く広がった香りに一瞬顔をしかめた彼があぁ、と小さく呟いた。
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