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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    料理作る🦍と🐇

    ##ディンエラ

    ガレット 客室でリテイナーの所持品やミラージュドレッサー内の整頓をしていると、珍しく扉をノックされた。誰だろうと首を傾げたルガディンが扉を開けるとやっほー、と見慣れたヴィエラが片手を上げる。何事だと困惑している間に客室内へ侵入し、ベッドに腰を下ろした彼女がにんまりと微笑む。
    「お腹空かない?」
     その問いかけに時計に目をやると、とうに昼を過ぎていた事に気付いた。
    どこか行きたい店でも?と尋ねてきたルガディンに、わかってないと言わんばかりに彼女がゆるゆると頭を振る。ベッドの上で彼女が足を揺らしながら今すぐ何か食べたいぐらいお腹が空いてるんだよね、と唇を尖らせた。
    「クランペットとかで良ければあるが」
     自身の鞄を探るルガディンに肩を落としながら溜息を吐かれた。出来立てのが美味しいじゃん、と呟くヴィエラに嫌な予感がして、鞄を探る手が止まる。同意した場合と詳細を尋ねた場合の展開の予想が薄々つくが、気付かないふりをして鞄の中からハイクオリティ品のクランペットを取り出そうとした。
    「……調理師のレベル、今どんだけだっけ?」
     いつの間にか近付いてきていたヴィエラがその腕を掴んで静かに制し、魅力的な笑みをたたえ首を傾げてきた。
     そういうわけで手料理を振る舞う羽目になったルガディンが溜息を吐きながら調理師の装備を身に付ける。
    「……ちなみにどういうものが御所望なんだ?」
     どういうもの、と繰り返したヴィエラに肉とか甘いものとかがっつり系とかあるだろう、と彼は製作手帳を捲りながら続けて尋ねた。材料と腕前に応じたものしか作れないが、と開かれた手帳のページにはレシピやそれに必要な食材が記載されていた。見たことのない項目を楽しそうに眺めながら彼女が口を開く。
    「カフェっぽいのとか?」
     カフェっぽいの。無茶振りにも程があるだろうとルガディンは顔をしかめるが、ヴィエラは期待に満ちた目で見つめ返してくる。鞄の中の食材を眺め、顎に手を添え少し考え込んでいた彼が首をかすかに傾げてから数回頷いた。

     フライパンで細かく刻んだ肉をフラントーヨオイルで加熱している間に、ボウルに鶏卵を割り入れ小麦粉を振るいながら加えたものに牛乳を注ぎ緩めの生地を作る。火が通った肉をフライパンから取り出し、少しのバターを落として溶かし広げたところに先程の生地をレードル一杯程度流し入れ、広げていく。肉の脂が混じった生地の焼き上がる香ばしい匂いが室内に広がり、ヴィエラが身を乗り出す。
    「クレープ?」
    「そんな大層なものじゃない」
     首を傾げた彼女に楽しそうに笑ってルガディンが返した。
     火が通ってきた生地の周囲が乾いてきたのに合わせて先程焼いた肉と薄切りにしたチーズを乗せて少し加熱してから、その中央に卵を落とし、塩を振る。白身に火が通っていくのを確認し、生地の四隅を畳んで皿に滑らせるように移した。
    「ガレットだ」
     そう言いながらヴィエラが受け取った皿にブラックペッパーを散らす。蕎麦粉もなければレシピもないから味の保証はしかねるが、と言いながら食器を差し出してくる。丁寧に切り分けた半熟の黄身が絡んだ生地を口に含み微笑んだ彼女に、口に合ったなら良かった、とルガディンが苦笑した。
    「美味しかった〜!」
     ご馳走様!と空になった皿を受け取りお粗末様でしたと返し、いつもの格好に戻った彼がお茶をテーブルに載せてヴィエラの方に差し出してくる。
    「これはレシピに倣って淹れたから不味くはないはず」
     多分。と付け足しながら自身の分のお茶を飲む彼についヴィエラの頬が緩んだ。
     ねぇ、とカップに手を伸ばしながら彼女が尋ねてくる。
    「カフェっぽいのって、他にどんなイメージがあったの?」
     聞かれると思った、と言いたげな表情を一瞬だけ浮かべた彼が頭を掻きつつ返す。
    「エッグベネディクトとか、パスタとかサンドイッチ程度の認識しかないな」
     喫茶店も混じってるじゃん、と楽しそうに揶揄してくる彼女に苦笑した。これは勉強しないといけませんなぁ、と胡散臭い口調でヴィエラが両手で持ったカップをテーブルに置く。
    「今度おすすめのカフェ、連れてってあげるね」
     手料理のお礼に、と笑った彼女にルガディンも笑って応えた。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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    mitotte_kazu

    PAST🐈🐇🐑🦍が美味しいものを食べるだけの話
    会食 立て続けの依頼を終え、ようやく一息つけるとヴィエラは適当に目についた店に入った。食事時から外れた時間帯もあって、まばらに空いた座席に腰を下ろす。そのまま倒れ込みそうなのを堪えてメニューを開いた。季節限定などのメニューも魅力的だったが定番で当たり外れのない、無難なものを選んで注文する。こんな疲れた時に、そういうメニューでハズレを引きたくないという打算だったが、他のテーブルに目を向けてみるとそうでもない気がしてきた。それでも穏やかな店員の対応に少し癒され、メニューを眺めながら頼んだ品が来るのを待つ。少しの時間を置いて、飲み物と共に運ばれてきたパンを齧る。さっくり焼き上げられた表面ともちもちした食感が楽しく、口の中に小麦の甘さとバターの風味が広がった。好きなやつ、と思いながらパンを頬張る。サラダとかスープも頼めばよかったかな、と思いつつ空腹も少し落ち着き、店内を見渡した。インテリアなどにも拘られており、居心地は良い。テーブルや椅子の高さも種族ごとの配慮もされていた。もしや割と良い出会いなのでは、と皿に載っているもう一つのパンを齧りつつ、頬を緩めた。
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