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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    🦍と🐇と赤児の短いお話

    ##ディンエラ

    赤児🐇無題



    「赤ちゃん、できるかなぁ」
     ルガディンの腕の中、一糸纏わぬ姿でシーツに包まっているヴィエラが小さく呟いた。かつて迷子を見つけたものの声をかけただけで泣かれてしまった彼の代わりに、ミコッテと一緒に対応していた時の彼女が頭をよぎる。子供苦手なんだよねぇ、と苦笑していた彼女から聞こえた予想外すぎる発言にそっと自身の頬を抓った。彼の動きに何してんの?と背後を覗き込もうとする彼女に、頬の痛みや痕を気取られないよう何でもない、と返す。
    「欲しいのか?」
     異種族間での着床率は把握していないが、ヴィエラ族については彼女から多少聞き齧った程度は知っていた。念の為確認してみるとううん、と彼女は首を振る。違うのかと不思議に思っていると、そっちは?と聞き返される。
    「自分の子供か、……」
     農家として生まれ育った生家を思い出し少し考え込んだ彼の返答を、彼女はふさふさと耳を揺らしながら待った。
    「子供は人手だったからな」
     多ければ多い方がいい。力がある男がいい。女として生まれたならば子を宿し産み育てるのがいい。自分の村で当然とされていた多くのものがそうではないと冒険の中で知った。光の戦士として艱難辛苦ともいえる経験も重ねた上で、ぼんやりと生きる事の困難さを再認識する。不器用で鈍感な自分に上手く育児ができるとも思えない。
    「望んではいないな」
    「私も〜」
     のんびり間伸びした声で間髪入れず同意され、尚更最初の呟きに疑問符が浮かんだ。しばらく黙り込んでしまった彼に、ふふ、と彼女が笑う。
    「生まれるならどんな子かなって」
     慈しむような彼女の声に一度目を閉じる。
    「……女の子、じゃないか?」
     顎をくすぐる彼女の耳の動きで、こちらを見上げて様子を伺おうとしたんだろうなと思った。他には?と尋ねてきた彼女に少し考え込む。
    「綺麗な紅い瞳をしてると思う」
    「ルビーみたいな?」
     存在しない子の話をしながら、この人との子供なら育てられるかもしれない、などと考えてしまっていた。何気なく下ろした指先が彼女の腹部に触れ、そこに宿るかもわからない小さな命に想いを馳せた。



    「そんな話をしてましたけども」
     どうですか、と疲弊したヴィエラの傍らで安らかな寝息を立てる赤児を見ていた。彼女よりやや暗褐色の柔らかな髪から覗いたヴィエラ族特有の耳は本来のものより短く、どんな夢を見ているのか時折唇をあむあむと食んでいた。
    「小さいな」
    「そりゃあディンに比べたらねぇ!」
     出生時の体重は優良健康に分類されると聞いてはいたものの、彼の掌に乗りそうなほど小さな身体だった。間髪入れずそれでも子を起こさないように小声での彼女の返答に苦笑する。ルガディンの小指の先すら包めなさそうな小さな掌はきゅっと握り締められていた。掌握反射、と単語を頭に浮かべながら、微かに揺れる耳に視線を向ける。
    「ハーフだからか、耳が短いな」
    「これから伸びるのかもよ?」
     そうなのか?とあからさまに動揺した彼にそんな訳ないでしょ、と彼女は更に楽しそうに返す。
    「鼻とか髪質はディン似かな」
     気付いてくれなかったねぇ、と頬杖をついて赤児に声をかける彼女に苦笑するしか出来なかった。
    「……母親に似て美人に育って欲しいな」
     当たり前でしょ、と答えた彼女が反応のない彼に視線を向け、パパは泣き虫ですねぇ、とくしゃりと笑った。



    「さっきから触らないねぇ」
     寝ている我が子を眺めていたルガディンにヴィエラは笑いかける。一定で安らかな寝息の赤児に視線を戻した彼が寝てるから、と短く返した。
    「起こすわけにはいかないだろう」
     静かに小声で続けた彼にそれはそうだと彼女も頷く。しばらく2人に寝顔を眺め続けられた赤児がふわぁ、と声を上げた。泣き出した赤児にオムツかミルクか、とわかりやすく動揺した彼に彼女は苦笑しながは赤児を抱き上げる。はらりと露出させた胸元を子の顔に近付け、お腹空いたよねぇ、と彼女は呟いた。目は閉じたままんくんくと母乳を飲む子を、飽きる事なく2人はまた眺める。
     満足したのか口の動きを止めた赤児を、
    「はいパス」
     普段通りの軽いノリで彼女は手渡してきた。慌てて下から掬い上げるように腕を回し、まだ座っていない首に注意しながら子を慎重に抱き留める。他種族よりも太く大きな自身の腕や掌に感謝しながら、落とさないよう力加減に注意しつつそっと支える腕に力を込めた。
    「上手いじゃん」
     弾んだ声の彼女に視線を向けると、にっこりと笑いかけられる。
    「げっぷ」
     そういえばさせていなかったなと慌てて胸元から肩にもたれかけさせ、ぽんぽんと子の背中を軽く叩き始めた。しばらく叩き続けても反応のない子を横目で見つめ、彼女に視線を移す。そんな目で見られも私も初見だが?と言わんばかりに微笑みかけられ、顔を顰めながら彼は手を動かし続けた。時折背中を下からさするのと軽く叩くのを続け、ようやく子がげふり、とその身体にに似つかわしくないげっぷをあげた。2人して顔を合わせ、安心したように深く息を吐いた中、赤児は彼の腕の中で安らかな寝息を立て始めていた。
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    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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    mitotte_kazu

    PAST🐈🐇🐑🦍が美味しいものを食べるだけの話
    会食 立て続けの依頼を終え、ようやく一息つけるとヴィエラは適当に目についた店に入った。食事時から外れた時間帯もあって、まばらに空いた座席に腰を下ろす。そのまま倒れ込みそうなのを堪えてメニューを開いた。季節限定などのメニューも魅力的だったが定番で当たり外れのない、無難なものを選んで注文する。こんな疲れた時に、そういうメニューでハズレを引きたくないという打算だったが、他のテーブルに目を向けてみるとそうでもない気がしてきた。それでも穏やかな店員の対応に少し癒され、メニューを眺めながら頼んだ品が来るのを待つ。少しの時間を置いて、飲み物と共に運ばれてきたパンを齧る。さっくり焼き上げられた表面ともちもちした食感が楽しく、口の中に小麦の甘さとバターの風味が広がった。好きなやつ、と思いながらパンを頬張る。サラダとかスープも頼めばよかったかな、と思いつつ空腹も少し落ち着き、店内を見渡した。インテリアなどにも拘られており、居心地は良い。テーブルや椅子の高さも種族ごとの配慮もされていた。もしや割と良い出会いなのでは、と皿に載っているもう一つのパンを齧りつつ、頬を緩めた。
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