夢の狭間「きみは、今の姿の自分が本来の自分ではないと…違う姿になりたいと、思ったことはないか?」
「ああ…そう考えたことはあるかな」
若きリーグ制覇者が、そんな事を話していたことがあった。
こことよく似ているが、少しだけ違う世界に、今の自分とは異なる姿で訪れる体験。
ギーマも、その話を思い出しているのだろう。そう問うと、「きみも聞いていたか」と返された。
「今は、そう思わないのか?」
「リーグを訪れる挑戦者たちと対峙する中で、彼らから見えるわたしの姿に、わたしは誇りと責任を持たねばいけないと思うようになった。それが息苦しいと思わなくなったのは、お前と抱き合う時間は本来の自分でいられるからだろうな」
「何?誘ってるのかい?」
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