面食いなあなた面食いなあなた
「俺、お前の顔好きだわ・・・」
そう言いながら、センパイは伸ばしてきたてのひらで俺の頬を撫でる。
その感触を堪能しながら、俺はちょっと不満に思う。
「・・・・・顔、すか・・・」
「ん?なに?不満?」
「・・・・・」
「わかりやす」
くすくすと笑うセンパイをじとっと睨めば、さらに蕩かせた笑顔を向けてくる。
「だってよー、お前って顔いいじゃん?女子に王子様って言われてるくれえだし。で、毎日結構な数に告白されてんのもそれを全部無表情にぶったぎってんのも知ってんだぜ」
「・・・・む・・・」
わしゃわしゃと両手で俺の頬なり髪なりを撫でつけながら、にやにやしながらそうセンパイは言ってくる。
確かに、周りからはかっこいいだのなんだの言われているし、呼び出されて告白されたりもかなりある。
それをセンパイに知られているのはまあ仕方がないとしても全く気にしていない様にされてなんか面白くない。
センパイはそんな俺の顔を見ながら、それだよ、なんて言って満足そうに笑う。
何がそれなのか、俺には全然分からない。
「どんだけ女子に騒がれようが告白されようが眉ひとつ動かさねえ鉄面皮なお前がさ、俺の事になると拗ねたり嫉妬したりを顔に出すし、俺が好きって駄々漏れしてるのが気に入ってんだよ」
ふわぁって甘い甘い笑顔を見せて、センパイは俺の唇にセンパイのそれをくっつける。
ちゅっ、て音を立ててすぐに離れたキスに俺は堪んなくなってセンパイをぎゅっと抱き締める。
「センパイ・・・」
「ん?」
「ずりぃっす・・・」
「ふふっ、んだそれ・・なぁ、流川、顔見せろ」
ぽふぽふ、センパイが俺の背中をタップするから仕方なく顔を上げる。
「・・・やっぱ、お前の顔、好きだわ・・・」
そう言うセンパイの顔からは俺の事が好きだって気持ちが溢れてた。
センパイは面食いだ。
だけど俺もセンパイの事はとやかく言えないくらい面食いかもしれない。
俺はセンパイ限定だけど。