ワンライ「あけましておめでとうございますです、ナマエさん」
唐突にぺこりと頭を下げた後輩に一瞬何事かと逡巡する。
「え、ああ年越しちゃったかァ。じゃ今年もよろしくだ、グルス」
もしかしたら耳を澄ませば鐘の音が聞こえたかもしれない。十二月三十一日、この年の瀬に悲しくも私と後輩グルスは本部にて報告書の山をやっつけていた。海賊に日付感覚なんてあってないようなものだから年末年始も通常営業。日付感覚があったとて騒ぐ理由にするのが関の山か。
「この書類あがりました。そっちはどうです?」
「おっけー、こっちもぼちぼち片付くかなァ」
ペンを走らせ顔も上げずに会話は続く。
「なら夜明けには間に合いますよね」
「間に合うも何もそれまでには終わらせたいよねェ」
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