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    fmi_fuU

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    20↑夢
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    🧢夢

    #OP夢
    #プリンス・グルス

    ワンライ「あけましておめでとうございますです、ナマエさん」
     唐突にぺこりと頭を下げた後輩に一瞬何事かと逡巡する。
    「え、ああ年越しちゃったかァ。じゃ今年もよろしくだ、グルス」
     もしかしたら耳を澄ませば鐘の音が聞こえたかもしれない。十二月三十一日、この年の瀬に悲しくも私と後輩グルスは本部にて報告書の山をやっつけていた。海賊に日付感覚なんてあってないようなものだから年末年始も通常営業。日付感覚があったとて騒ぐ理由にするのが関の山か。
    「この書類あがりました。そっちはどうです?」
    「おっけー、こっちもぼちぼち片付くかなァ」
     ペンを走らせ顔も上げずに会話は続く。
    「なら夜明けには間に合いますよね」
    「間に合うも何もそれまでには終わらせたいよねェ」
     溜息をこぼす私とは反対に心なしかグルスの声は弾んで聞こえた。
    「もういっそ初日の出拝んで帰ろうかなァ」
    「お!」
    「お?」
     突然声を張り上げた後輩に思わず顔を上げる。と目が合った彼の目が輝いてみえる。
    「おれも一緒に見て帰りたい。です」
     慌てて付け足された敬語に思わず笑いをこらえた。そんなに日の出みたかったのだろうか。
    「いいよ。じゃあ初日の出拝むためにもさっさと片しちゃおうか」
    「やったぜ、任せてください!」
     深くうなずいて何やらやる気を出しているようだ。この時間になっても張り切ってくれるとはグルスはできた後輩である。
     
     これはちょっとした運試しだった。運なんて中途半端なことはあまりしない性質だがやむを得ない。先輩との距離を詰めようと思うとうしても毎回運試しみたいになってしまうのだ。なぜならこの人のことが良く分からないから。尊敬しているし好いてもいる、戦闘でも書類仕事でも満足な補佐ができる程度には見つめてきた自信がある。それでも、この人と私的な距離を詰めるにはいつもその返事がどう返ってくるのか不安になってしまうのだ。いつだって運試しするような気分。それも今日に限っては一年のうち最初の運試し。この人とどうにかなれる一年になるかどうかがかかっているようなそんな気さえしてくる。
     結果はおれの勝ちだった。先に誘い文句が出なかったのはかっこつかないけどそれでもこの際別に気にしない。先輩と一緒の時間を仕事後に確保できたのだ、これは大喝采ものだろう。きっと朝になってもまだ冷えるからそれを口実に今度こそおれのほうから手を繋ぐためになにかうまい言葉を考えておく必要があるな! と一人深くうなずく。
     
     夜明け前、大小二つ影が並んで太陽を待っていた。その手が重なっていたかどうか、それは当人のみぞ知ることだ。
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