バースデーくまくま 祝いの場の背景に置かれたバースデーベア。ふわふわの可愛らしいそれを背から鷲掴みにして、ジュードはセイジの傍へやってきた。
「撮影に使った小道具は記念に持ち帰っても良いらしい。いるか?」
「? 僕にくれるの? ジュードくんはいらない?」
「俺が部屋に飾って愛でると思うか?」
想像して、セイジはくすくすと笑みを零した。例えばベッドに置いて添い寝する姿、例えば棚に置いて季節の洋服や装飾に着せ替えて楽しむ姿。ジュードがどんな愛で方をしたって、きっと可愛らしくて様になる。
「いらん想像をしている顔だな」
「ふふ、ごめんね。でもジュードくんは何してても似合うもの」
君もそう思うよね、とぬいぐるみの同意を得ようとするセイジ。ブルーグレーのリボンを巻かれ、頭に王冠を戴くバースデーベアはどこか誇らしげである。セイジも自身の誕生日には同じものを用意されたけれど、ジュードのぬいぐるみの方が堂々として見えた。
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