秋そわそわ ホップがブラッシータウンの駅から外に出ると、曇り空も相まって、あたりはすっかり暗かった。
少し前までまだ明るく、夕方の涼しさが心地よい時間だったのに、いつの間にか太陽の沈むのが刻々と早くなっている。裾や袖を抜けていく風が体を冷やすようで、ついジャケットの前を合わせた。
天気が悪く肌寒い日が増えると、秋が冷たい風に乗って来たと思う。葉はまだ色づいていないが、それもすぐだ。ホップの後ろを歩く少女も似たことを感じたらしく、「もう秋だねえ」と歌うようにつぶやいた。
「お芋にリンゴ、栗にカボチャ。秋は美味しいものがたくさんあるから、好き」
ユウリは被っていた緑のベレー帽を手に取って、指先に引っ掛けてクルクルと回し、ブーツをかぽかぽ言わせた。ホップは後ろを振り向く。
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