確認したいのはそこじゃない ブラッシータウンのポケモン研究所にて。
「こんにちは、ソニアさん。これ差し入れです。なんかシュートシティで話題になってるお菓子みたいですよ!」
「ありがとう! 美味しそうだね。きっとホップも喜ぶと思うよ」
スタジアムの控室にて。
「あのね、ビートくん。わたし、こないだ雑誌の撮影ですごい褒められちゃった!」
「あーはいはいよかったね。ホップくんも喜んでくれるんじゃないですか」
シュートシティのバトルカフェにて。
「ねえ、マリィちゃん見て! これ新しく買ったスカートなんだけど、すごくかわいくない?」
「うん、かわいい。ホップも喜ぶと思う」
ワイルドエリアでのキャンプにて。
「インテレオン、すごくいい感じに仕上がったね! 次のトーナメントも負け知らずじゃない?」
「うぉれおん、れお」
バトルタワー上階のダンデの執務室にて。
「わたしが話してると、なんでみんなすぐホップの話するんですか……」
高級そうなソファのひじ掛けに、ユウリはだらしなく体重を預けていた。どこか不機嫌、というか不満そうな顔でローテーブルに乗せたきのみを、人差し指でつついて揺らしている。
それに不思議そうにまばたきをしたダンデが返事をした。
「気が付いてなかったのか? ユウリくん。きみっていつも二言目には『ホップ、喜んでくれるといいなぁ』って言うんだ」
ユウリはガバリと身を勢いよく起こした。その茶色の目を大きく見開いて、口もパカリと驚きに閉まらないままだ。
その様子に気が付いていないのか、なんなのか。暢気にダンデは話をつづけた。
「ホップと仲がいい友達でいてくれてオレは本当にうれしい! ちなみにホップはそのきのみのカレー好きだぜ!」
「う、うそ……」
「オレはホップのアニキだからな。カレーの好みについては詳しいぜ!」
両手で口を覆って顔を真っ赤にした幼いチャンピオンに、リーグ委員長代理はニコ、と弟と同じ顔で微笑んだ。