ミミロロと雨 ミミロロは雨が苦手である。
自分が濡れるのは平気だけど、思い出の詰まった毛皮が水で傷むのが許せないからだ。
だから、ミミロロは雨の日は大人しくしている。
それでも、運悪く降られることだってある。
これはそんな雨の日の話。
ミミロロとオズは雨から逃れるために走っていた。
さっきまでの青空がウソのように、バケツをひっくり返したような雨が急に降ってきたのだ。
市街で降られたのならまだ良かった、手ごろな建物や軒下に避難できたが、運が悪いことに自然の多い遊歩道では屋根が見当たらない。
お気に入りの毛皮が濡れることを嫌ったミミロロは、走りながら辺りを見渡すと雨宿りに丁度よい木を見つけて指差した。
「オズ! あの木の下!」
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